F1ピットストップBACK NUMBER
バーレーンGP開催中止に想う……。
各国でファンから乖離し始めていたF1。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byBongarts/Getty Images
posted2011/02/23 10:30
首都マナーマから車で1時間かかる砂漠の真ん中にあるバーレーン・インターナショナル・サーキット。2004年に中東で初めてとなるF1開催を果たし、以降毎年続いている。コース上では、灼熱の暑さと砂に悩まされる
日本GPの最高額チケット8万8000円は、高いか安いか?
日本GPが開催される鈴鹿サーキットもすでに今年の観戦料金を発表しているが、それによればもっとも高い席は8万8000円(1人3日間通し券、駐車場券付き)である。これは一般の人がスポーツ観戦として気軽に手が出せる金額ではもはやなくなっているのではないか。
開催中止が決定する直前、バーニー・エクレストンは、バーレーンGP開催の是非をサルマン皇太子に一任していた。デモに参加していたバーレーン市民からは「皇太子は国民の血よりF1が大事なんだ」「GP開催は皇太子の夢だから野党との対話をしたんだ」など、F1開催そのものが民主化デモの矢面に立つような表現まで出る事態となっていた。
チュニジアやエジプトがいずれも体制が崩壊し、崩壊した後も混乱が続いていることを考えると、今季後半に開催を延期したとしても、バーレーンGPの可能性はかなり低いのではないだろうか。そもそも、GP開催を新しい体制となったバーレーン国民で受け入れられるかどうか……。
いまF1は、その国の“体制”側ではなく、多くのF1ファンを抱えているはずの一般国民に受け入れられるソフトウェアを再開発していく時期に差し掛かっている。