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「ソフトバンクはなぜこんなにも強い?」日本シリーズの流れを変えた山川穂高と川村友斗の一発…背景に王貞治会長の直接指導「そんなに振らなくてもいい」
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鷲田康Yasushi Washida
photograph byKiichi Matsumoto
posted2026/10/31 17:05
日本シリーズ4連勝で2年連続日本一となった福岡ソフトバンクホークス。その強さの秘密とは…
王会長が直接指導「そんなに振らなくても」
日本シリーズ開幕前日の練習中、王貞治球団会長が直接、打撃指導を行っていたのだ。「前でさばくように」
「そんなに振らなくてもいい」
力みを取り、ボールをしっかり捉えるための助言だった。球団のトップが、FAで獲得した主力選手にも直接向き合い、経験と技術を伝える。大型補強で選手を獲得して終わりではない。その選手の能力を最大限に引き出すための環境がある。
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そうして延長に突入した試合。10回1死で打席に入ったのは、8回に柳田悠岐外野手の代走から「5番・右翼」に入っていた川村友斗外野手だった。マウンドの伊勢大夢投手の2球目だ。135kmのチェンジアップをこの伏兵・川村がバックスクリーンへ叩き込んだ。今季はわずか4安打、打率1割にも満たなかった男の、プロ通算2本目のアーチが決勝弾になり、シリーズの流れは一気にソフトバンクへと再び戻ってきた。
大金を投じて獲得した実績十分の大砲と、球団が時間をかけて育ててきた若手が、土壇場で試合を動かす。この試合がまさに、補強と育成というソフトバンクの強さを象徴する光景だった。
もちろんソフトバンクの補強は山川だけではない。今やチームの背骨となっている近藤健介外野手もFA補強組だし、第1戦に先発好投した上沢直之投手もそうだ。必要と思えば他球団で実績を残した選手を、獲得してチームの弱点を埋めてきた。資金を惜しまず、必要な戦力を外から補う。そこには勝つための明確な意思がある。
ソフトバンクの育成システム
一方で自前の選手を育てる投資も続けている。象徴が2023年に始まった4軍制である。支配下に育成選手を加えて2軍から4軍まで段階的に競争の場を設け3、4軍の試合だけでも年間229試合を予定した。試合数をこなすことで、選手はそれだけ出場機会が得られる。数を揃えること自体が目的ではない。実戦で経験を積ませ、課題を見つけ、次のステージへ押し上げる仕組みである。
その育成システムで特徴的なのは、現場のコーチだけに任せていないことでもある。投手、野手それぞれにコーディネーターを置き、各軍の指導者に加え、データサイエンスやハイパフォーマンスの部門とも連携する。選手の状態を多角的に分析し、成長を組織で支える。育成を個人の経験や勘に頼らず、球団全体の仕事と捉えているのだ。
川村も、その仕組みから1軍にたどり着いた1人だった。


