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甲子園の風BACK NUMBER
「入学直後は消防士になろうと…」大学でまさかの“球速12キロ増”…あの「山田陽翔の控え」左腕が4年間で覚醒のワケは? DeNAからドラ1指名のウラ話
text by

沢井史Fumi Sawai
photograph byNanae Suzuki
posted2026/10/26 11:03
DeNAから1位指名を受けた大商大の星野世那。大商大では球速を151キロまで伸ばし、本人が目指す「勝てる投手」に
すらすらと反省の弁を述べた後、こう付け加えた。
「(準備はしていたのかという問いに)展開次第では自分が投げないといけない場面が来るので。最後にいくぞと(冨山監督から)言われていましたし、今日は6回くらいから準備はしていました。フルカウントであっても“行け”と言われたら行かないといけない。そこはもう、覚悟してマウンドに行きました」
4年前の星野だったら、果たしてこのピンチを乗り越えられただろうか――? あの夏見た、どこか申し訳なさそうにマウンドに立っていた星野の姿はもうなかった。
大学で「自分の弱い部分が徐々になくなった」
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「大学では自分の中の弱い部分が徐々になくなっていったというか。4年間でここまで成長できたのも(冨山)監督さんに厳しい言葉を言っていただいたお陰です。
高校の時はずっと山田に頼りっきりで何もできなかったんですけれど、大学ではそういう悔しさを持ってチームを勝たせられるようなピッチャーになりたいと思ってずっとやってきました」
プロの世界は子供の頃からずっと憧れた世界だった。だが、それはあくまで“憧れ”で、本気で目指そうとまでは思っていなかった。というより思えなかった。
「中学、高校で自分の実力の限界を現実として見たので、プロに行きたいとは思ったことが実は今までなかったんです。大学に入った直後もプロなんて考えていなかったので、卒業したら消防士になろうかなって思っていたくらいですから」
高校時代、最速139キロだったストレートは現在151キロまで伸びた。この秋のリーグ戦では調子を落としている大学生のドラフト上位候補の投手が多い中で、星野は9月にすでに3勝を挙げるなど猛アピールを続けた。
8月の関東遠征のプロアマ交流戦で巨人の三軍との試合をした時、かつて聖地で相対した浅野翔吾と再会したという。
「向こうから声を掛けてくれて。自分のことなんて覚えていないと思っていました」
すでにプロの世界に身を置く、あの夏に戦った同学年の選手たち。何より高校時代ずっと背中を見てきた山田とは同じチームで共闘したいか尋ねると、星野は即座にこう返した。
「山田とは、プロで投げ合いたいんです。だから、できれば別のチームでプレーできれば」
◆
10月22日、迎えた2026年のドラフト会議。
横浜DeNAベイスターズの1位指名選手。呼ばれた名前は――「大商大の星野世那」だった。

