甲子園の風BACK NUMBER

「入学直後は消防士になろうと…」大学でまさかの“球速12キロ増”…あの「山田陽翔の控え」左腕が4年間で覚醒のワケは? DeNAからドラ1指名のウラ話 

text by

沢井史

沢井史Fumi Sawai

PROFILE

photograph byNanae Suzuki

posted2026/10/26 11:03

「入学直後は消防士になろうと…」大学でまさかの“球速12キロ増”…あの「山田陽翔の控え」左腕が4年間で覚醒のワケは? DeNAからドラ1指名のウラ話<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

DeNAから1位指名を受けた大商大の星野世那。大商大では球速を151キロまで伸ばし、本人が目指す「勝てる投手」に

 それは大商大・冨山陽一監督から受けた助言も大きかった。

「マウンドに畳が縦に1畳あるのをイメージして、その中に身体を収めるようなフォームで投げてみろと言われたんです」

大学2年時に139キロ→147キロへ球速がアップ

 肘の出し方もスムーズになり、その年の6月に球速は147キロを計測した。

ADVERTISEMENT

「徐々にではなく一気に(147キロが)出たんです。高校の時は最速でも139キロだったので、ここまで出たのは正直驚きました」

 そしてその直後に出場した全日本大学選手権の2回戦・早大戦で先発を告げられたのは星野だった。

「(冨山)監督さんから“お前しかいない”と言っていただいて。ああいう試合を任せてもらえたので何とか期待に応えたい。それだけでした」

 それでも春のリーグ戦未登板で経験もほとんどない2年生が、この年の初登板の公式戦が全国大会で、しかも相手は早大。緊張しないわけがなかった。

「あの日は試合前から口の中がカラカラで(苦笑)。目の前が揺れるような緊張があったのを覚えています。でも、やるしかないと思いました」

 耳を突き刺すような早大の応援団の大声援は今でも覚えている。そんなアウェイの雰囲気をよそに、初回を三者凡退で斬って取ると、中盤以降はチェンジアップやカットボールなども交えて8回まで6安打されながら11奪三振、無失点。9回に先頭打者に安打を許した場面でマウンドを降りた。

「2回までは自分のマックスの力で投げて空振りを取ることはできたんですけれど、5回以降になると球威が初回より4~5キロ落ちてしまって」と、好投できたことよりも終盤のピッチングを悔やんだ。

「自分はまだまだ力がないことを実感しました。でも、ああいう展開でも勝ち切れる投手になりたいと思うようになったんです」

 以降、オープン戦では志願して長いイニングを投げさせてもらうことが増えた。

 投げる体力をつけるための走り込みはもちろん、普段の練習での投げ込みでは球数を多く投げる日を自ら設けて長いイニングを投げられる準備を敢行した。

【次ページ】 大学4年目…見せた「勝てる投手」の真骨頂

BACK 1 2 3 4 5 NEXT
#星野世那
#大阪商業大学
#横浜DeNAベイスターズ
#山田陽翔
#埼玉西武ライオンズ

プロ野球の前後の記事

ページトップ