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青学大・原晋監督「34歳はおじさん」発言に反論した納得のワケ…マラソン日本記録保持者・大迫傑35歳が今、テーマに掲げる奥深い“2文字” 

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涌井健策(Number編集部)

涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui

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photograph byKanta Nakamura

posted2026/10/09 18:00

青学大・原晋監督「34歳はおじさん」発言に反論した納得のワケ…マラソン日本記録保持者・大迫傑35歳が今、テーマに掲げる奥深い“2文字”<Number Web> photograph by Kanta Nakamura

昨年、34歳でマラソン日本記録を更新した大迫傑

「はい。僕の中で好きだったのが、『枯れる』は外側から見ると加齢と同様にネガティブなイメージがありますが、『凝縮』という意味で考えると非常にポジティブだなと思った点です。今までネガティブに捉えられていた言葉を、いかにポジティブに捉えることができるか。肉体的、精神的に若くあり続けることも大切ですが、今の自分にあるものを使ってどう成長していくか。言葉の表向きのイメージと意味、つまり中身が反転している表現が自分らしいなと思い、『これいいな』と」

アンチテーゼ的に言えば「おじさん頑張るよ」

――ネガティブをポジティブに変える姿勢、とても大迫選手らしいです。今年の冬、青山学院大学の原晋監督から「34歳はもうおじさん」と言われたという記事を読んだ際、Twitter(現X)で反論していたことにも通じるように思います。世間の見方や反応をみて、そういった姿勢が明確になってきたのでしょうか?

「潜在意識の中にあったかもしれないですね。自分では良い練習ができているという『中』と、年齢という『外』にギャップがあることが前提としてありました。だからこそ原さんから『おじさん』と言われたことに対して『確かにな』とは思いつつも、『そうじゃないんだよね』と反論したい気持ちもあった。アンチテーゼというか。加齢を否定的に捉えたり、逆に若さを下に見るのはなく、世の中の価値観に合わせつつも『自分の年齢という価値をどう最大化できるか』と考えたかった。その時に『古くて強い』という《枯淡》の持つ意味合いからインスピレーションをもらったんです」

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――《枯淡》​と聞くと、茶の湯や水墨画のように削ぎ落として残った美しさを連想します。大迫選手はマラソンを通して何かを表現したいのかなと思いました。

「アスリートは体にリアルな年齢が出ます。走った上で残すタイムだけではなく、そこにメッセージを乗せて共感者を増やし、感じてもらうことの総量を最大化していくことが大事だと思っています。今の僕は、フレッシュな若々しい走りで周りを元気づけるというよりは、自分と同世代でまだまだチャレンジしていく人たちに向けてメッセージを残したい。

 年齢を重ねていくと、無くなっていくもの、衰えていくものに目が向きがちですが、減ったことで残ったもの、つまり若いうちには気づかなかった自分の良さを伸ばしていけるというメッセージを届けたい。アンチテーゼ的に言えば、『おじさん頑張るよ』というイメージですかね(笑)」

 まず毎回、レース前に明確なテーマを設定していたということに驚き、そしてそのテーマが周囲のファンやメディアが想像するよりも、かなり深い意味を持っているということに、さらに驚いた。今は世界中のトップランナーの様子や、彼/彼女らが発するメッセージをSNSで見ることができるが、《枯淡》のように哲学的で、自分自身を対象にしつつ、周囲にも届くテーマを設定しているランナーは大迫傑だけだろう。

 自分自身は何者なのか。そしてその存在が世間にどう受け止められているのか。この問いに正面から向き合い、そこから走る理由を見つけ出すプロセスに、ランナー大迫傑の強さの本質がある気がする。

 ここからインタビューは9つの小テーマを掘り下げていく形で進んだ。動画の公開順に「絢爛」「日損」「枯槁」「疎野」「若拙」「逍遥」「日益」「中膏」「龍吟」。正直に告白すると初めて耳にする言葉もあったし、知ってはいるが意味を説明しづらい言葉もあった。だが、大迫はそれぞれの単語の意味を、自分なりに解釈し、マラソンランナーとしてのストーリーに落とし込んでいた。

 ここではインタビューで特に印象的だった3つのパートを一問一答で紹介したい。〈続きを読む〉

#2に続く
「箱根で活躍した選手がマラソンで失敗するのは…」大迫傑35歳がケニアで語った“選手にとって邪魔なプライド”とは?《シカゴマラソンへ》

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