欧州サッカーPRESSBACK NUMBER

「ごま油→カメレオンに」40歳の欧州組・元日本代表DF丹羽大輝がスペインで評価され続ける理由…日本と違う「ブエルタ」「カラメロ」の感覚とは? 

text by

金川誉

金川誉Takashi Kanagawa

PROFILE

photograph by本人提供

posted2026/10/05 11:00

「ごま油→カメレオンに」40歳の欧州組・元日本代表DF丹羽大輝がスペインで評価され続ける理由…日本と違う「ブエルタ」「カラメロ」の感覚とは?<Number Web> photograph by 本人提供

元日本代表DFの丹羽大輝選手(40)。35歳でスペインへ渡り、若いチームメイトたちに囲まれながらプロ24年目をスタートした

ボードを使って確認しなくても……

「スペインの選手は、サッカーを教えてもらっている回数が多い。指導者も多いし、見ている試合数も多い。だからイメージの共有ができる。僕が35歳で初めてスペインに来た時、19歳の選手と、僕がプロで何年も過ごしてきた中でつかんでいた感覚をすぐに共有できた、ということがありました。例えば相手のプレッシャーに対する打開策を、試合前から2つも3つも持っていて、阿吽の呼吸で共有できる。日本では言葉で確認しながら、時間をかけて紐解いていくような状況でも、ここの選手たちは感覚として当たり前に持っています。日本だと、ボードを使って、相手が2トップでプレッシャーに来るのか、1トップで来るのか、こうきたら、ボランチがひとり降りて、こうやって剥がそう、みたいなことを確認します。でもスペインでは確認しなくても、若い選手もみんなその感覚を持っています。サッカーは、答えのないスポーツではありますけど、ゴールまでの道筋を見つけるのが圧倒的に速い」

 北中米ワールドカップを制したスペイン代表は、高度な個の技術と攻守の連動性で世界を魅了した。フィジカル化と縦への推進力がトレンドとなる現代サッカーにおいて、彼らは技術と判断力を研ぎ澄ませた洗練されたフットボールを展開した。丹羽は、自身が戦うカテゴリーと代表レベルの違いを前提としつつも、この国全体に根付く「共通感覚」の正体をこう分析する。 

“サッカーIQ”高さの鍵は「ブエルタ」と「カラメロ」

「横パス、バックパスに対してネガティブなイメージがないのが、完全にスペインの感覚です。縦に速く行きたい、という狙い自体は、サッカーでは共通しています。ただ、横、後ろ、斜めがあってこその縦、という感覚がスペイン人はすごく強い。

ADVERTISEMENT

『やり直し』をスペイン語では『ブエルタ』と言いますが、そのブエルタをめちゃくちゃやります。日本だと、『なんで前を見ないのか』『縦に速く行けるタイミングがあったら行け』となりがちですけど、その感覚が違う。後ろ、斜めに下げ、前後に相手を動かすことで縦に行くチャンスを生む、という感覚をみんなが持っています。映像を切り取れば、速い縦パスを通せば、すごくいいパスに見える。でも本当は、その前がある。バックパスで相手を引き出す。横、横に遊びのショートパスを2、3本使うことで、間が空く。だから縦パスが通る。要は遊びのパスみたいなものが圧倒的に多い。餌をまく感じ。こっちでは『カラメロ』と言います。キャンディという意味で、『甘いキャンディで相手を食いつかせてやれ』というジョークでもある。そのカラメロみたいな感覚が強い。

 僕がここで体感しているサッカーの本質やロジックは、かつてガンバ大阪でヤットさん(元日本代表MF遠藤保仁)が体現していたスタイルと近いものがあります。ヤットさんがチームにもたらしていたあの独特のテンポや、ボールを保持しながら相手をコントロールする感覚。それを、スペインでは多くの人が持っているんです。もちろんラ・リーガ(1、2部)と下のカテゴリーでは、その感覚を表現するためのクオリティーが違います。でも、感覚は持っているんですよ。それこそが、スペインのサッカーそのものだと強く感じます」

【次ページ】 スペイン指導者たちの「言語化」

BACK 1 2 3 4 5 NEXT
#丹羽大輝
#ガンバ大阪
#サンフレッチェ広島
#FC東京
#CDサントゥルツィKE
#遠藤保仁

海外サッカーの前後の記事

ページトップ