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横浜高・渡辺元智監督が認めた“次代の名将”「えらい監督が現れたな…」81歳で死去した“ミスター高校野球”はライバル、盟友と何を語り合ったのか?
posted2026/08/24 17:26
横浜高校の監督として春3回、夏2回の甲子園優勝を果たした渡辺元智さん。写真は監督ラストイヤーとなった2015年に撮影
text by

安藤嘉浩Yoshihiro Ando
photograph by
Takashi Shimizu
8月17日に81歳で亡くなった渡辺元智さんには、周囲を包み込む魔法のような包容力があった。横浜高校野球部の監督として長く取材してきた筆者は、監督勇退後に、対談企画に3度協力してもらっている。相手は後継者、好敵手、そして盟友……。そのたびに相手を気遣い、心に残る温かいお話をしてくださる姿に接した。
「私が大阪に行きます」現役監督への気遣い
渡辺さんが2015年夏を最後に横浜高の監督を勇退したころ、高校野球界は大阪桐蔭が黄金期を迎えていた。そこで名監督の系譜を担う存在として、西谷浩一監督との名将対談を朝日新聞紙上で企画した。2017年の初夏、場所は大阪市北区にある朝日新聞大阪本社内。渡辺さんは72歳、西谷さんは47歳だった。
電話で快諾をもらい、「西谷さんは横浜まで行きます、と言っています」と伝えると、渡辺さんは「とんでもない。西谷さんは練習がありますから、私が大阪に行きます」と現役監督を気遣ってくださった。
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当日も、恐縮する西谷さんの緊張を、渡辺さんが柔らかな笑顔でほぐしながら、対談を盛り上げてくれた。
思い出深い試合というテーマに対し、西谷さんが「私のベストゲームは2008年夏の準決勝、全員野球で横浜に9-4で競り勝った試合です」と答えると、「よく覚えていますよ。えらい監督が現れたな、と思いました」と渡辺さんは笑って応じた。
実は2006年夏の1回戦でも両校は対戦し、春夏連覇を狙う横浜は、大阪桐蔭に6-11で敗れている。
「その試合でスクイズのサインを出したら、渡辺監督と小倉(清一郎)部長がベンチで動いた気がしたんです。すぐに取り消したら、それはダミーだったようで何もなかったんです」と西谷さん。
「2008年はスクイズも決めることができました。そのまま決勝も勝って優勝することができました。私自身も自信がついた試合です」
「スクイズは6点目かな。警戒はしていましたけどね。やられたな、と思いましたよ」。渡辺さんは目を細めて懐かしんだ。
対談のあと、2人が一緒に食事する場にも同席した。采配から選手育成法、高校野球の未来まで、西谷さんの質問に、渡辺さんは穏やかな表情で応じていた。

