野ボール横丁BACK NUMBER
「とにかく展開が早い」名将・小倉全由元監督が体感した「7イニング制」…“10対0で9回制支持”でも心が揺れる理由
text by

中村計Kei Nakamura
photograph byKei Nakamura
posted2026/08/19 11:02
現役監督を退き、「7イニング制」導入の検討会議メンバーに名を連ねる日大三高・小倉全由前監督
高校野球の責任
――7回制の問題は時間をかけてじっくり話し合って欲しいと思いつつ、気候の変化はそう都合よく待ってくれるわけではないですからね。
小倉 今年はスーパーエルニーニョっていうんですか、夏の甲子園は暑くなりそうですよね。NHKの全国放送で選手が熱中症で倒れて担架で運ばれる姿なんかが映し出されたら、それはもう高校のスポーツじゃないだろうという感じもしてしまいますからね。ある高野連の関係者が話していたことがあるんです。1995年1月、阪神・淡路大震災が起きたとき、世間から「こんな時に野球をやっていいのか」と激しい批判を浴びながらも、春の選抜大会を開催しました。NHKも全国中継してくれた。あれは「自分たちの力でできたんじゃなくて、世の中の人たちにやらせてもらったんだ」と。それくらい高校野球は日本の国民に愛されてきた。だからこそ、こういう地球規模の問題が起きているとき、高校野球は率先し、世の中に何かを示すべき責任があると言うんです。
――先ほど、「3人の小倉がいる」という話がありました。あらためて、うかがわせてください。現役監督の立場を知っている者からするとやっぱり9回制維持ですか。
ADVERTISEMENT
小倉 やっぱり、9回ですね。そこは「10対0」で9回制を支持したい。
――検討会議でいろいろな立場の人の話を聞いてきた立場からすると?
小倉 そうなると、だんだん7回制に寄ってくるんですよ。五分五分ぐらいかな。
――代表監督として7回制を経験した立場からは?
小倉 6、7回は盛り上がりましたからね。7回制だからといって、野球がつまらなくなると言い切ることはできないと思うんです。なので、やっぱり五分五分ですね。
――ユニフォームを脱いだ今、小倉さんは九十九里の実家でどのような日々を過ごされているのですか?
小倉 三高の試合があれば観に行くこともあるけれど、それ以外は庭の手入ればっかりですよ。芝を刈ったり、植木をきれいにしたり。趣味らしい趣味なんてないから、隣の家の植木までボランティアでやってあげたりしてね。こう見えて、けっこう忙しいんだよ。
いろいろ難しい時代になりましたけど、自分が願うのはひとつだけ。選手たちが大好きな野球を真っ直ぐに楽しめる世の中であって欲しい。ネットの闇に足をすくわれることもなく、猛暑で身の安全を脅かされることもなく。

