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「とにかく展開が早い」名将・小倉全由元監督が体感した「7イニング制」…“10対0で9回制支持”でも心が揺れる理由
text by

中村計Kei Nakamura
photograph byKei Nakamura
posted2026/08/19 11:02
現役監督を退き、「7イニング制」導入の検討会議メンバーに名を連ねる日大三高・小倉全由前監督
「本当に怖いのは……」
――年々地球の温暖化が進み、高野連としても早く何か手を打たなきゃという思いがあるのもわかるんですよね。
小倉 検討会議のメンバーの中にはお医者さんもいて、選手の健康は当然ですけど、「本当に怖いのはグラウンドの選手たちよりも、スタンドで応援している吹奏楽の部員や一般生徒たちなんです」って言うわけです。選手らはそれなりに暑さに慣れているでしょうけど、スタンドの生徒たちは慣れてないじゃないですか。しかも、選手たちのようにベンチで休んでいる時間もない。ずっと、炎天下の中にいる。万が一、甲子園のスタンドで誰かが倒れて、命を落とすようなことになったら、甲子園そのものが開催できなくなってしまうかもしれない。主催者側はとにかく甲子園で大会を続けようとしてくれていて、今、そこまで追い詰められ、苦渋の決断をしようとしている。その気持ちも今なら確かにわかるんです。
――「野球は9回」という現場のこだわりと、「命を守る」という運営側の防衛策。この断絶をどう埋めればいいのでしょうか。
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小倉 指導者たちは、もっと裏方の人たちの苦労を考えてあげてもいいのかなという気はしますね。自分も現役監督のときはそうでしたけど、西東京大会の抽選会で自分たちがどこに入るか決まってからは、もう、そこをどうやって勝ち抜くかしか考えられなくなる。でも、自分たちがそうやって野球のことだけに集中できるのって、裏方さんたちの尽力があってこそなんですよ。甲子園もそうです。今の若い監督たちは甲子園にいかにやりやすい環境を整えてもらっているか、わかってないんじゃないのかな。今はバスが甲子園についたら、そこから本部の人が室内練習場に連れて行ってくれて、涼しいところで着替えて、練習もできる。そして時間になったら、試合の準備をしてくださいって、いちいち面倒をみてくれる。昔は球場から離れたグラウンドで練習しなければならず、時間になったら甲子園に移動していた。遅れちゃいけないから、とにかく慌ただしくてね。ほんと、今は何もかもやりやすくなりましたよ。

