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「今の時代では足りないと思い知らされた」日大三高・小倉全由前監督が徹底した部員数制限、体罰排除…それでも見えなかった“現代の死角”
posted2026/08/19 11:01
日大三高野球部の監督時代の小倉全由氏
text by

中村計Kei Nakamura
photograph by
Hideki Sugiyama
目が届かなかった“死角”
――昨年夏の広陵高校もそうでしたけど、小倉さんは以前から「強豪校で不祥事が起こりがちなのは、部員が多過ぎて、指導者の目が届かないからだ」と指摘していました。
小倉 強豪私立となると100名を超えるところも珍しくないですからね。そこへいくと、日大三高は各学年20人くらい、3学年合わせても60人前後なんです。自分は1学年15人がベストだと思っているんです。ただ、どうしても毎年、入りたいという選手がいるものだから20人くらいにはなってしまっていたんですけど。それ以上多くなると、よっぽどしっかり管理体制を整えない限り、指導者の目が行き届かなくなる。学校経営の事情で部員をたくさん獲らなきゃいけないという高校もあって、簡単に部員数を制限できないという「大人の都合」もわかりますけど、選手を預かる責任の重さを考えたら組織の肥大化はやっぱりリスクだと思います。
ただね、今回はその1学年20人という枠組みで運営していても、スマホの死角にまでは目が届かなかった。組織を小さくすれば万全かというと、今の時代はそれだけでも足りないのだと思い知らされました。
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――小倉さんは、2012年に起きた大阪・桜宮高校バスケットボール部での体罰自殺事件を機に、生徒に手を上げる指導を完全にやめられましたよね。
小倉 ハッとしたんです。あんなこと、絶対にあっちゃいけない、と。自分も若い頃は、手に負えない選手がいたら「俺は監督でも何でもねえ。一人の男としてお前とタイマン張ってやるから、かかってこい!」なんて、本気でやっていた人間なので。だけど、桜宮のニュースを聞いたとき、本当に怖くなったんです。指導者が「期待しているから」「こいつのためだから」と厳しく当たっても、受け取る側によっては死を選んでしまうことがある。よかれと思ってしたことが絶望を与えることになってしまい、最悪の結果になる。互いにとって、こんな不幸はないじゃないですか。

