プロ野球PRESSBACK NUMBER
北の大地でプロ球団が異例の「夏合宿」!? 育成に舵を切った西武の“獅子の穴”に潜入…篠原響らを1軍に送り出した「美唄きっかけ」の秘密を追う
text by

喜瀬雅則Masanori Kise
photograph byMasanori Kise
posted2026/08/19 06:00
北海道は美唄市のさわやかなグラウンドで夏合宿を行う……プロのチーム? 西武の強化合宿の現地を訪れた
“美唄きっかけ”で飛躍した若手たち
初の試みとなった昨年の美唄夏合宿からは、2024年育成ドラフト1位の左腕・冨士大和(大宮東高・19歳)と同4位の左腕・佐藤爽(星槎道都大・23歳)の2投手が、今年に入って支配下に昇格。2024年ドラフト5位の右腕・篠原響(福井工大福井高・19歳)は、侍ジャパンのサポートメンバーとして2月23日の壮行試合、ソフトバンク戦に先発して1回無失点の好投で注目されると、今季は33試合登板、2勝2敗1セーブ、23ホールド(8月17日現在)をマークするなど、ブルペンの一角を担う存在に成長。
青木はこうした成果を「自分の中で“美唄きっかけ”という言葉を使っているんですけど」と前置きした上で、こう評している。
「夏場にしっかりともう一回、鍛錬をした結果、自分たちが望むカテゴリーに進んでいった選手がいた。効果検証は取れないものですけど、ここの場というのは、効果があったと私は信じているんです」
ADVERTISEMENT
所沢でも、12球団でも最大級の広さとも言われる室内練習場には50メートル四方の内野フィールドエリア、ブルペン5レーン、打撃4レーンが備えられている。さらにベルーナドームに隣接する2軍球場(CAR3219フィールド)には来年7月からナイター照明も設置される予定で、そうすれば時差練習も可能になる。
こうした練習環境の整備も進める一方で「美唄に行くからこそ、できることもありますから」と説明してくれた球団本部長の広池浩司は、夏の甲子園でのスカウティングを終え、1軍が北海道遠征を行った8月11~13日の時期に合わせ、美唄に視察へ出向いている。
“夏合宿”の新たな可能性
若手の有望株を、鍛えるべき時に、しっかりと鍛える。
量より質、データ管理、パワハラに繋がりかねない激しい声かけや強制的な練習は避けなければならない令和の時代に、質・量ともに追う、内容の濃い“夏合宿”という西武の新たな取り組みには、新時代の人材育成という観点から見ても、伝統と新たなチャレンジの融合が感じ取れる。また、猛暑を避け、じっくりと練習できる環境としても、夏の北海道は最適だろう。他球団が追随すれば「サマーリーグ」と称しての練習試合も可能になり、そうすれば、地域貢献のイベントとしても、大きな意味を持てるようになるかもしれない。
西武の“夏季キャンプ”には、まだまだ多くの可能性が見いだせそうだ。


