JリーグPRESSBACK NUMBER
「1~3億円で我慢しつつ」Jリーグを救う“移籍金ビジネス秘策”セルオン条項とは「もしバイエルン移籍が20億円で10%なら…」「日本人は安く買えるが」
text by

龍後昌弥Masaya Ryugo
photograph byMasashi Hara/Getty Images
posted2026/08/08 17:02
Jリーグからの欧州移籍が日常的な昨今、どうやって収益を最大化させていけばいいのか
ある選手がJクラブからヨーロッパのクラブへ移籍したとしましょう。その選手が「次に移籍する際の違約金」の一部を、元のJクラブが受け取れる契約をあらかじめ結んでおくのです。
サッカー業界では「セルオン条項」(転売時に利益が分配される仕組み)と呼ばれています。
たとえば、龍後という選手がFCマサヤからドイツの1.FCケルンへ移籍した際に、契約書に10%のセルオン条項を盛り込んだとしましょう。その2年後、龍後がケルンからバイエルンへ移籍金20億円で移籍したら、FCマサヤは20億円×10%=2億円をもらえるのです。
ADVERTISEMENT
セルオン条項のパーセンテージの相場はおよそ10%で、もし20%をつけられたら好条件と言われています。ただし、南米に目を向けると、過去に50%に設定していた例がありました。それを参考にしない手はありません。
代理人としては短期的にタフな交渉になるが
Jリーグのクラブの最初の違約金は1億円から3億円で我慢する代わりに、50%のセルオン条項を要求してもいいかもしれません。ハードルは高いですが、交渉によって30%に設定できたら御の字。それを繰り返していくうちに、「日本の選手は安く買えるが、クラブを説得するには高いセルオン条項が必要」という新たな商慣習ができあがるはずです。
セルオン条項の水準を上げるような提案をすると、代理人としてはヨーロッパ側のクラブとの交渉がよりタフになり、代理人単体で見たときの短期的な損得はマイナスになるかもしれません。
しかし、Jリーグの国際競争力のアップは、間違いなく優れたタレントの輩出につながります。巡り巡って代理人の利益にもなります。
瀬古在籍クラブに見る「100年の文化」の厚み
こうした交渉戦略の背景には、欧州が100年以上かけて築き上げてきた「サッカー文化」の厚みがあります。
瀬古歩夢選手が所属するルアーブルは1872年にスタートし、フランス最古のクラブの一つと言われているそうです。150年以上の歴史があります。
瀬古選手が移籍した際にチームマネージャーが案内してくれましたが、「オックスフォード大学と定期戦を始めたのがうちのサッカーチームのスタートなんだ」と説明してくれたくらいです。

