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「薬物乱用で心臓が停止」「しぼんだ身体、10秒で失神」“霊長類ヒト科最強”マーク・ケアーの悲劇「突然のメール…ハリウッドで映画化?」報われた人生
posted2026/07/05 11:22
藤田和之に攻め込まれ、弱気な表情を見せるマーク・ケアー。“霊長類ヒト科最強”と呼ばれた強さは失われていた
text by

長尾迪Susumu Nagao
photograph by
Susumu Nagao
自ら鎮痛剤を注射し…ドキュメンタリーで告白
1999年のイゴール・ボブチャンチン戦から2000年のPRIDEグランプリまでのマーク・ケアーを追ったドキュメンタリー『The Smashing Machine』は、2002年に米国のケーブルテレビHBOで放送された。この中でケアーは生々しく、全てをさらけ出している。彼はオピオイド(※)と呼ばれる鎮痛剤を自ら注射することで、試合や練習での肉体的な痛み、恐怖感を和らげていた。
(※オピオイドは神経中の受容体に作用する化合物の総称。非常に強力な鎮痛、陶酔作用を持つ一方で、使い方を誤ると依存症や中毒を引き起こす恐れがある)
さらに試合へのプレッシャー、勝利に対する不安、当時の恋人との関係なども吐露していた。ケアーには精神的にも肉体的にも負担があり過ぎた。薬は肉体を蝕み、やがて使用量も増えてゆく。常用から中毒になり、薬に溺れてゆく様子が、ドキュメンタリーでは克明に描かれていた。
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やはりあの噂は本当だった。「強い男」のイメージを守るために、あるいは自分の心の弱さを克服しようと、己の身体を犠牲にしたケアー。彼のことを思うと、悲しいというより、切なくなった。同時に、形容しがたい愛おしさを感じた。
「薬物の過剰摂取で心臓が停止した」
ケアーの再起戦はボブチャンチン戦から2カ月後の1999年11月に予定されていた。対戦相手はエンセン井上。しかしケアーの内臓疾患により、この対決は翌年1月の『PRIDE GRANDPRIX 2000 開幕戦』へと持ち越された。
欠場理由は表向きには「内臓疾患」と発表されたが、実際には薬物の過剰摂取により心臓が停止し、緊急入院で一命を取りとめるほどの重症だったという。入院中、マーク・コールマンら周囲の友人からの励ましもあり、彼は依存症からの脱却と人生の立て直しを決意。自らの意思でリハビリ施設に入った。退所後はバス・ルッテンとのトレーニングも再開し、再起に向けて環境を整えていた。


