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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「(黒田)朝日さんの穴を埋めるのは難しい」“箱根駅伝の皇帝”青学大が関東インカレまさかの苦戦? それでも“新戦力”選手に感じた「王者の強さ」
text by

酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byNanae Suzuki
posted2026/06/09 06:00
年始の箱根駅伝では黒田朝日(右)の激走もあって3連覇を達成した青学大。一方で春の関東インカレでは苦戦が目立った
日々の練習で着実に積み上げている手応えがあるのだろう。堂々と前を向いた。
「順位はあんまりよくないと思いますけど、自分のなかではしっかり出しきれるだけの力は出せたかなと思います」
平松は前回の箱根駅伝で初出場ながら重要区間の4区を任され、区間3位と好走した。黒田朝日(玉野光南高、現GMOインターネットグループ)の5区での大逆転劇は、この平松が往路の序盤戦での出遅れを挽回し、順位を5位まで押しあげたからこそ、実現したものだった。陰のヒーローは、2月の別府大分毎日マラソンを2時間11分31秒で走破しており、一歩ずつランナーとしての器を拡げている。
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4年生になって、主将の中村海斗(世羅高)を支える副主将として責任感を滲ませる。
「去年よかったから、今年がいいとは限りません。そういうところも、もう一回、立て直してやっていかないといけない。そのままの形ではなく、進化していくという」
エース黒田を失ったことで、自分たちはどう戦うべきなのか。青山学院大では月に一度、学生ミーティングを行い、自分たちが進むべき方向を確かめあっているという。
原晋監督からもこう言われている。
「今年は『強い4年生』が抜けたから」
前回の箱根優勝メンバーで、選手の体調不良から急きょ1区に配置転換された小河原もまた、原の思いを受け止める。
「朝日さんの穴を埋めるのは難しいので、それは一旦、置いておいて、いまはチームにエースがいない状態で、全員の力でそれをカバーしようと。それはミーティングでも毎回、出てくる話になっています」
最強世代の筆頭格である折田壮太も言う。
「朝日さんは口でなにかを言って引っ張るのではなくて背中で見せる人。朝日さんのように走って成績を出せるなら、ああいう選手がひとりいてもいいと思います。でも、自分もそうですが、まだまだそういう選手には程遠い。口や行動で伝えて、一緒に強くなっていこうという意識のなかでチームを引っ張ることができればいい」
「飛車角落ち」でこそ発揮される青学大“本当の強さ”
ゴールデンウイークに“季節外れ”の強化合宿を敢行したのも、選手たちが束になって前に進もうとするのも、エース不在を克服し、「Ⅴ10」に挑む決意の表れだろう。
チームは一大事を迎えているが、最近12年間で9度の箱根駅伝優勝を果たした青山学院大にとっては初めての逆境ではない。むしろ、飛車角が抜けた窮地を乗りこえて箱根を制するところにこそ、青学大の「本当の強さ」があるように思えてならない。

