甲子園の風BACK NUMBER
「大社の馬庭君はどうしてるんだろう…」早稲田実業“あの甲子園名試合”から2年…なぜ再戦が実現した?「実は島根って近いんですよ」「騙されねえぞ」
text by

井上幸太Kota Inoue
photograph byJIJI PRESS
posted2026/05/24 11:04
2年前の甲子園で“伝説的な試合”を繰り広げた大社。写真はエースの馬庭優太
そして、今年1月。石飛が年始の挨拶で電話した際、「宿舎の件ですが、2食付きでこれぐらいになりそうです」と添えると、和泉が観念したようにつぶやいた。
「わかったよ、行くよ。春の大会で負けたらな」
恒例である山口遠征の後、島根に移動して練習試合を受けてくれるという回答だった。
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春の東京大会の組み合わせが決まると、石飛はつぶさにチェックした。早実は4月初旬に敗れた。石飛の回想。
「その試合当日の夕方に和泉さんから電話をいただいて、『今日、負けたよ』と。『そうなんですね、残念な……』と返すと、『お前、知ってんだろ!』と言われました(苦笑)」
実際、石飛は試合結果をいち早く確認していたのだが、和泉にはお見通しだったようだ。
「行くよ。頼むな」
この瞬間、石飛は不謹慎だと自覚しつつも、心の中で「よっしゃ!」とつぶやいた。
「よっしゃじゃねえんだよ!」
心に留めたはずの本音が漏れ出ていた。
なぜ“島根で試合”にこだわったのか?
一連のエピソードを聞き、石飛の執念を感じるとともに、一つの疑問が芽生えた。なぜ「早実を島根に呼ぶことにこだわったのか」ということだ。
年長者なのは和泉だし、監督としての実績も上回っている。練習試合をお願いする場合、石飛が出向くのが自然だ。大社が遠征する形であれば、日程を公式戦の結果に左右されるゴールデンウィークに限定する必要もなかったのではないか。
石飛は言う。

