テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
「きょうはオオタニから打撃練習したいと」大谷翔平“投手専念と打撃不振”現状にコーチがポツリ…今年で32歳「長く二刀流を」ドジャースでの今後は
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph byAP/AFLO
posted2026/05/12 19:08
今季の大谷翔平は「投手専念」という起用法が増えているが、果たして今後はどうなるか
「(5日の敵地アストロズ戦前の屋外フリー打撃は)球場での打球の見え方を確認してほしかったからです。彼は以前、(エンゼルス時代に)ア・リーグ西地区にいましたし、もちろんヒューストンでは何度もプレーしています。ただ、ルーティンを変えて、打球の見え方を確認する意味がありました。きょうは彼の方から打撃練習をしたいと言ってきました」
幸いにも心配は杞憂だった。二刀流で最高のパフォーマンスを生み出すためにも、心身の健康状態を保つ上でも、互いに納得のいく話し合いになっていることを願うばかりだ。
3年ぶりに二刀流で開幕を迎えたメジャー9年目。大谷は投手として、投手板に右足を置く位置を一塁側に固定し、キャッチボールから本格的に遠投を取り入れ、低回転のスプリットではなく高回転のシンカーを多投してできる限り負担を減らそうとしている。打者としても、昨季より0.5インチ(約1.3センチ)短くした34インチ(約86.4センチ)のバットに戻し、先端をくりぬいた「くり抜きバット」と通常のバットを頻繁に使い分けるなど、変化を恐れない取り組みが例年以上に目立つ。
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日本時間5月12日時点で投手で6試合、37イニングを投げ2勝2敗、防御率0.97、打者で39試合に出場し、打率.233、6本塁打、16打点、5盗塁。4月23日に発表された大リーグ公式サイトの「先発投手パワーランキング」で1位にランクインした。
メジャーで本塁打王2度、打点王1度、前人未踏の「50-50(54本塁打、59盗塁)」を成し遂げ、MVPは歴代2位の4度。今季はエンゼルス時代の2022年以来、自身2度目の「ダブル規定」到達を目指し、その先のサイ・ヤング賞を現実的な目標として見据えている。打撃成績の物足りなさを指摘する声も聞こえてくるが、これら変化を恐れない姿勢こそ進化への始まりではないだろうか。唯一無二の二刀流として今季も打者成績の巻き返しにも大きく期待したい。
もし“いずれかにせざるを得ない”時が来たとしたら
ドジャース移籍1年目のワールドシリーズ初制覇直後に行われた24年12月の報道各社合同オンラインインタビューでのこと。日本メディアの「二刀流をいつまで継続していきたいですか?」という問いに大谷は、こう答えた。
「二刀流を今までやってきて、長く続けたいという思いはあるので。(投打)どちらかにせざるを得ないタイミングがもし来たとしたら、どちらにしても対応できる準備というのをしっかりしておく必要があるのかなと思ってはいます」
打撃不振の影響を投手業に置き換えるのは簡単。二刀流で上記のような偉業を成し遂げ続けてきた大谷にその理屈を押しつけることはしたくない。約2カ月後の7月5日に32歳を迎える。“どちらかにせざるを得ないタイミング”は来るのか。それとも、二刀流のまま現役引退を迎えるのか。
一生に一度の選手を目の当たりにしている緊張感と覚悟をもって、取材に臨む。番記者の一人としてその姿勢と信念を忘れず、唯一無二の二刀流の魅力を伝え続けていきたい。〈メジャー特集:つづく〉

