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ボクシングPRESSBACK NUMBER
中谷潤人“決戦前日の変貌”「井上尚弥にまったく萎縮していない…」それでもなぜ井上ペースに? 世界的カメラマンが痺れた“12分の攻防”「まるでSF映画」
posted2026/05/08 11:25
至高の技術戦を繰り広げた井上尚弥と中谷潤人。リングサイドで撮影したカメラマンの福田直樹氏が、ボクシング史に残る一戦を振り返る
text by

福田直樹Naoki Fukuda
photograph by
Naoki Fukuda
◆◆◆
今回はいつにもまして、試合前から井上選手のテンションが高いように感じました。4月20日の公開練習で「あれ(西田凌佑戦の奇襲)を見せてしまったことがどう出るか」と語ったり、M.Tジムの村野健会長に「包み隠さず全部やりました!」と伝えたり……。あくまでも推測ですが、「自分こそが主役」という自負心と、この対決をさらに盛り上げようという意図があったのかもしれません。中谷選手に対する心理戦、情報戦においても、自ら主導権を握りにいっている印象を受けました。
練習の動きは万全でした。特に印象的だったのはシャドーのときから、高いガードをしっかり意識していたこと。パンチも非常にコンパクトで、これは実際の試合でも同じでした。「包み隠さず全部やった」というのは、牽制や揺さぶりではなく、言葉通りの意味だったのかもしれません。
決戦前日、中谷潤人の気配が一変した瞬間
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対する中谷選手の公開練習は、いつもより若干テンションが低いような気がしました。むしろ意図的に抑えていた、という感じでしょうか。
独特のアングルとタイミング、パンチの貫通力を持つ中谷選手ですが、これまでの試合では「ひとつの試合のなかで、ある特定の武器が光る」といった勝ち方が多かった。例をあげるとショートアッパー、チョッピングライト、左のロング、ボディストレート等です。ですが井上選手ほどパーフェクトな相手に勝つには、すべての武器を活用できないと難しい。次々に多彩な技術を引き出しながら、距離をうまく調節して戦うことができるか。そのあたりがポイントになると予想していましたが、実際に対峙してみないと、どんな展開になるのかはまったくわかりませんでした。


