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井岡一翔37歳が苦しめられた“ふたつの壁”「立派でした。ただ…」長谷川穂積が絶賛した井上拓真の“たまらない技術”「那須川天心も強くなったが…」

posted2026/05/07 17:04

 
井岡一翔37歳が苦しめられた“ふたつの壁”「立派でした。ただ…」長谷川穂積が絶賛した井上拓真の“たまらない技術”「那須川天心も強くなったが…」<Number Web> photograph by Naoki Fukuda

5階級制覇を目指して井上拓真に挑んだ井岡一翔。だが、拓真の圧倒的な技術の前に偉業を阻まれる結果となった

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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Naoki Fukuda

5月2日に東京ドームで行われたWBCバンタム級タイトルマッチは、チャンピオンの井上拓真(大橋/以下、拓真)が日本男子初の5階級制覇を目指した挑戦者の井岡一翔(志成)に判定勝ちを収めてベルトを守った。戦前はいぶし銀のベテラン、井岡の勝利を予想する声も少なくない中、蓋を開けてみれば拓真が2度のダウンを奪って大差の勝利。両選手のパフォーマンスを元3階級制覇王者の長谷川穂積さんが解説する。(全3回の3回目)

井岡一翔37歳が苦しめられた“ふたつの壁”

「最高の技術戦になる」と言われたテクニシャン対決は、ある意味で予想を裏切る結果となった。激しいペース争いが続くと思われた2回、拓真がいきなりダウンを奪ったのだ。右カウンターを決め、すかさず追撃すると、井岡は力なくキャンバスに転がった。

「1ラウンド目、井岡選手の動き自体は悪くなかったと思います。しっかりガードを上げて、すり足でジワジワとプレッシャーをかけていく。いつも通りの井岡選手のスタイルです。でも最初のダウンがやっぱりきつかった。のちのちまで響きました」

 これまで世界4階級を制してきた井岡は37歳という年齢と、ミニマム級から上げてきて5階級目となるバンタム級で「階級の壁」が心配されていた。本人はそれを百も承知で乗り越えようとしたが、まずは年齢の壁に苦しめられた。

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「井岡選手の試合はこれまでいくつか解説をさせてもらっていますが、今回はやっぱり少し反応が遅いなと感じました。以前だったら避けられたパンチが避けられない。ブロックしてすかさずリターンは得意パターンですが、それもうまく機能しない。年齢を重ねても、トレーニングすればスタミナは大丈夫です。ただ、反応の速度はどうしても落ちてしまいます」

 井岡は昨年大みそかのWBA挑戦者決定戦でこのクラスを一度経験しているものの、スーパーバンタム級でも戦っていた拓真相手には苦しかった。3回には右アッパーを食らい、2度目のダウンを喫した。

【次ページ】 井上拓真の「相手にとってたまらない」技術

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