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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「中谷選手は打たせてもらえなかった」“パンチ温存策”の中谷潤人を、井上尚弥はいかに封じたか?「井上選手は漫画のよう」怪物と最も拳を交えた男が解説
posted2026/05/07 11:03
井上尚弥vs中谷潤人“世紀の一戦”の序盤戦は、なぜ静かな展開になったのか?
text by

森合正範Masanori Moriai
photograph by
Hiroaki Finito Yamaguchi
インタビュー前編では、勝敗を分けたポイント、中谷が“隠したパンチ”などを解説してもらった。《NumberWebインタビュー全2回/後編に続く》
◆◆◆
終始井上ペースになった“最大の要因”
――ハイレベルな凄まじい試合でした。
「もう本当に胃が痛くなるような緊張感のある試合でしたね。次の瞬間、何が起こるかわからない。ボクシングという競技の難しさと奥深さを感じる36分でした」
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――勝敗のポイントになったのは?
「井上選手の距離感に尽きると思います。前後のステップによる出入りのスピードと左ジャブが本当に素晴らしかった。中谷選手のほうが背が高くて懐も深いんですが、中谷選手から見ても井上選手の距離を遠く感じたと思います」
――と言いますと?
「井上選手は結構スタンスを広くして、上体を前後に動かしたり、ときには全く動かさなかったり、上体の緩急というか、あれでだいぶ距離感を狂わせていたと思います。実際、ジャブの差し合いで、あのフレームの中谷選手に対して、井上選手のパンチが先に届くというのが僕からしたら信じられない。距離感では井上選手に分があったし、全体的な流れとしても常に井上選手がペースを握っていましたね」
静かな序盤の真相「中谷選手は打たせてもらえなかった」
身長173センチ、リーチ174センチの中谷に対し、井上の身長は165センチでリーチは171センチ。1ラウンドから真剣で斬り合うようなヒリヒリした展開で、中間距離での闘いがしばらく続いた。
――序盤、中谷選手は様子見のカウンター狙いで、あまり手数が出ませんでしたね。
「井上選手のジャブは他の選手のジャブと違って、とにかく痛い。正確に相手をストッピングできるし、ダメージを与えられる。いつも言っていますが、本当に井上選手のパンチの質は他のボクサーとは違うんです。グローブじゃないというか、何か硬いもので殴られるような感覚です。中谷選手はより慎重にならざるを得なかったと思います」

