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井上尚弥との頂上決戦「僕は中谷君が勝つと思います」対戦者が語る中谷潤人…「アフマダリエフ戦の闘い方をすれば、誰も井上尚弥に勝てない」は真実か?
posted2026/05/01 11:08
井上尚弥戦前の公開練習で笑顔を見せる中谷潤人。かつて対戦した望月直樹は「下剋上が見たい」と中谷の勝利に期待する
text by

森合正範Masanori Moriai
photograph by
Takuya Sugiyama
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再びリングに上がった望月直樹は勲章が欲しかった。チャンピオンか、そうでないか。そこには大きな差があった。ボクサーになったからには、チャンピオンの称号を手にしたかった。
2019年10月21日、WBOアジアパシフィック王者の阪下優友に挑んだ。3年前に大差判定で勝っている相手だった。
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多彩な左を軸に、足を使って9ラウンドまで3~5ポイント差でリードしていた。しかし、10ラウンド、阪下の右を食らい、一瞬動きが止まった。ここで強気に打ち返す。カウンターの右フックを浴びると、前のめりに倒れた。足を使って逃げ切ろうと思うほど、体力も残っていなかった。
もうこれで終わりだな……。リング上でそう思った。悔いはない。燃え尽きた。
戦績は21戦16勝(8KO)5敗。プロ生活6年、やり切ってグローブを吊るした。
母は息子の闘う姿を見届けた。
「もしあそこで逃げて勝って、その後、だらだらとボクシングを続けて、ケガでもしたら……。親としてはね、私はよかったと思います。また、次の人生が開けたから。最初に負けて、レストランで話したときとは、全然違う感じだったので」
タイトルには届かなかった。だが、望月はやり遂げたボクサーの顔をしていた。
下馬評では井上尚弥が優位も「僕はそうは思わない」
対戦後、中谷潤人の試合は欠かさず見ている。世界王座に就いたときにはSNSに「祝WBOフライ級新王者」と書き込んだ。拳を交えた者にしかわからない特別な感情があった。その中谷が5月2日、東京ドームでスーパーバンタム級世界4団体統一王者の井上尚弥に挑戦する。
――闘った相手が、日本ボクシング史上最大の戦いに挑みます。どのような気持ちですか。
「僕は中谷君のファンです。やっぱり嬉しいですよね。大番狂わせが一番心を揺さぶるし、どっちに賭けるかと言ったら中谷君。下剋上を見たいですね」

