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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「ジュントにはプランがある」中谷潤人のトレーナーが不気味に語っていた…井上尚弥に敗れた深夜、中谷陣営が告白「奇襲ではなかった秘策」
posted2026/05/05 11:02
試合序盤、左フックを狙う中谷潤人
text by

曹宇鉉Uhyon Cho
photograph by
Hiroaki Finito Yamaguchi
◆◆◆
「ジュントが従わなければいけないファイトプランがある。もし彼がそれに従うことができれば、イノウエにとって、この試合は非常に困難なものになるだろう」
5月1日、後楽園ホールに設けられた公開計量のためのステージの脇で、ルディ・エルナンデスが言った。特筆すべき発言ではない。勝つためのプランがあるのは当たり前だ。試合を翌日に控えたボクサーのトレーナーが語る言葉としては、むしろ穏当なものだった。だが同時に、過度に勇ましい発言ではないからこそ、ブラフや強がりの類ではないようにも思えた。
事前の予想は、はっきりと井上優勢だった
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井上尚弥と中谷潤人。ともに32戦全勝のふたりによる日本人対決は、疑いの余地なく日本ボクシング史上最大の戦いだった。『The Ring』のPFP(パウンド・フォー・パウンド)ランキングでは、井上が2位で、中谷が6位。競技者としてのレベルも、興行の規模も、実現のタイミングも、すべてが理想的な形で噛み合っていた。「やがて、伝説と呼ばれる日。」といういささか大時代的なキャッチフレーズも、違和感なく受け入れられるほどに。
一方で、事前の予想ははっきりと井上の勝利に傾いていた。元世界王者をはじめとした識者のなかで、中谷の勝利を予想する者はほとんどいなかった。では実際に拳を合わせたボクサーはどう感じているのか。WBC・IBF世界バンタム級王座統一戦で中谷に敗れた西田凌佑に、大阪の六島ジムで話を聞く機会があった。西田は「中谷選手がどう戦うのか楽しみ」と期待しながらも、やはり井上の勝利を予想した。
パワー、スピード、テクニック、そしてこれまでに井上が積み上げてきた輝かしい実績。さらに中谷がスーパーバンタム級転向初戦でWBC10位のセバスチャン・エルナンデスに苦戦したことも、やや評価を落とす要因となっていた。長身のサウスポーというアドバンテージや、階級によりアジャストできる余地はあるものの、それでもなお井上との差を埋めるまでには至らない――少なくとも試合前の時点では、そんな見立てが支配的だったと言っていい。

