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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「ジュントにはプランがある」中谷潤人のトレーナーが不気味に語っていた…井上尚弥に敗れた深夜、中谷陣営が告白「奇襲ではなかった秘策」
text by

曹宇鉉Uhyon Cho
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi
posted2026/05/05 11:02
試合序盤、左フックを狙う中谷潤人
奇襲ではない「ファイトプラン」
それを踏まえたうえで、冒頭のルディの発言に立ち戻る。「ジュントが従わなければいけないファイトプラン」とは何か。まず考えられたのが、西田戦の序盤に見せた“奇襲”だ。1ラウンドから2ラウンドにかけて、中谷は予想外の攻勢をかけて主導権を握った。だが、3ラウンドと4ラウンドは左ボディやカウンターに活路を見出した西田が奪い返している。右肩の脱臼によって6ラウンドで棄権した西田だが、序盤の猛攻に対応できずに敗れたわけではなかった。中谷が井上相手に同じことをしたとして、勝利の可能性が高まるとは思えない。
4月20日の公開練習前の会見で、井上は不敵に言い放っている。
「ひとつ言えるとするなら、中谷陣営が(西田戦の)あれを見せてしまったところがどう出るか。目の前であれを見せてくれたというのは自分のなかですごくプラス。どう出てきても対応できるイメージは持ちやすいですね」
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西田以上の破壊力と対応力を持つ井上を相手に、序盤から手札を切っていく展開はリスクと見合わない。ルディの言った「ファイトプラン」は奇襲ではない。しかし「従わなければいけない」という言葉のニュアンスからして、明確なプランが存在していることもまた確かだった。策はある。それも、遂行できればかなりの確率で井上を苦しめることができる策が。
見落としていた“ある可能性”
ひとつ、バイアスによって見落としていることがあった。中谷の判定勝利の可能性だ。井上は3月6日の対戦発表会見後の囲み取材で、きっぱりとこう言った。
「僕に判定では勝てません」
ムロジョン・アフマダリエフ戦の「打たせずに打つ」芸術的なボクシングを目の当たりにした多くの者がこう思ったはずだ。井上が本気でポイントをピックアップするスタイルに徹したなら、同階級に判定で勝てるボクサーはいない、と。事前予想で“中谷の勝ち筋”に言及した多くの識者も、「井上が負けるならKO」という認識を示していた。

