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中谷潤人との“恐怖のスパー”「鼻を折られて血まみれになった」親友の証言…「まったく普通じゃなかった」“最高の生徒”に師ルディは何を授けたのか?
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宮田有理子Yuriko Miyata
photograph byYuriko Miyata
posted2026/04/30 11:31
さまざまなテーマを設けて行われる中谷潤人のスパーリング。トレーナーのルディ・エルナンデスが細かく指示を出す
「イノウエのすごさに取り憑かれてもいけないんだ」
2024年には世界3階級制覇を果たし、リング誌が選定するパウンド・フォー・パウンドのトップ10に名を連ねた。昨年6月には同じ長身サウスポーのIBF世界バンタム級王者・西田凌佑(六島)を奇襲から攻略して2団体王座統一にも成功。それでもなお試合のたびに「課題が見えました」と言える中谷に、この優れた参謀たちがついていれば、可能性は青天井にも思える。
やせっぽちの体に、鋼の意志をたずさえた少年は、とんでもないところまで昇ってしまった。
人々が中谷を近未来の井上尚弥の対戦者候補として語り始めたころは動揺し、記者たちの問いを「イノウエが35歳になったらね」などとはぐらかしていたルディも、とうに肝を据えている。2023年5月。ラスベガスのMGMグランドを戦慄させたアンドリュー・モロニー(豪)への12回KO勝ちがリング誌の「ノックアウト・オブ・ザ・イヤー」に選出された時に、すっかりと。何度も狙った左オーバーハンドのセットアップを少しずつ変え、完璧な瞬間をとらえた一撃KOが、歴史に刻まれた時である。
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「ジュントは世界王者になり、3階級を制覇し、世界最高のKOを披露し、統一王者にもなった。パウンド・フォー・パウンドの10人に数えられるボクサーになった。それでもイノウエとの戦いが我々にとってとんでもなく難題なのは間違いない。我々はイノウエを研究し、解き明かす努力をする。が、彼のすごさに過度に取り憑かれてもいけないんだ。どう対応する、どう守る、必須の作業を忘れずに、あとはイノウエがどう出てくるかによって、ジュントはどこまでもクリエイティブに動く。難しい戦いなのは当然。ジュントは、ベストになりたいんだ。ベストになるために、我々は、ベストに勝ちにいく」
<続く>

