ボクシングPRESSBACK NUMBER
中谷潤人との“恐怖のスパー”「鼻を折られて血まみれになった」親友の証言…「まったく普通じゃなかった」“最高の生徒”に師ルディは何を授けたのか?
posted2026/04/30 11:31
さまざまなテーマを設けて行われる中谷潤人のスパーリング。トレーナーのルディ・エルナンデスが細かく指示を出す
text by

宮田有理子Yuriko Miyata
photograph by
Yuriko Miyata
◆
2025年12月27日のサウジアラビア遠征。スーパーバンタム級デビュー戦であり、大一番への前哨戦となるセバスチャン・エルナンデス(メキシコ)との12回戦を、中谷潤人は僅差の判定勝ちでクリアした。世界3階級制覇を果たしたバンタム級では5戦して5戦ともKO(TKO)勝ち、圧倒的な強さを示した中谷の、2年以上ぶりのフルラウンド消化。井上尚弥のスパーリングパートナーを務めたこともある大柄なメキシカンと後半、近距離で打ち合って押し戻される姿は、多くの人たちにとって意外なものだったに違いない。
「イノウエと戦うジュントは前回のジュントではない」
試合前日の夜、にわかに胸騒ぎがして眠れなかったと、中谷の師ルディ・エルナンデスは明かした。過去の映像資料で確認する限りでは、対戦者エルナンデスはスピードもパワーも特別なものはなさそうな、無骨なファイターに見えた。
ADVERTISEMENT
「なのになぜこんなに心配になるのか。普通に見えるところが、落とし穴だった。英雄フリオ・セサール・チャベスが、そうじゃないか。一見、上等なボクシングには見えないが、知っての通り凄まじい強さだ。セバスチャンも、20勝18KO無敗なのには理由があった。素晴らしいファイターだ」
フルラウンドの映像を2度再生して採点し、攻防の精度で勝ちは正当だと確認したが、エルナンデスの止まらぬ手数、圧力、耐久力、ずっとこの体重で戦ってきた者とミニマム級からスタートした者の厚みの差は、はっきりあった。ただし、勝って終えたこの戦いは、恩恵でしかない。
「試合で難しい状況を経験することができた。ジュントはより貪欲に学び、また強くなる。イノウエと戦うジュントは、セバスチャンと戦ったジュントではない」

