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「表彰台逃し号泣」ミラノ五輪スノボ採点で何が起きていたのか…日本人審判が説明「山田琉聖選手と平野流佳選手に同じ点数をつけたかったが…」
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矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byNanae Suzuki/JMPA
posted2026/04/22 11:06
ミラノ五輪でただ1人、3本とも90点台の高得点をマークしたにもかかわらず4位となって涙を流した平野流佳。日本人審判が苦衷の内幕を語った
ここでジャッジシステムを紹介すると、スロープスタイルが「セクション・バイ・セクション」で評価されるのに対し、ハーフパイプは「オーバーオール」で評価される。つまり、1つの技のインパクトだけでなく、ラン全体の完成度、流れ、技のバリエーションなどのバランスが問われる。そして評価を定める要素の中で、パイプの右と左で高さがそろい、すべてのヒットで安定して高さやトリックを出せるかどうかは、非常に重要な評価ポイントになる。
この点で、戸塚やスコッティ、そして山田は「均等に高いエア」を保っていた。対して平野流佳は「高い→やや低い→高い→低い」と波があり、そのアンバランスさが評価をわずかに押し下げた。
橋本氏はさらに踏み込み、「もし0.1でもミスがあれば、順位を分けるために点数を下げざるを得ない」と言う。その理由は、スノーボードでは最終的に同順位にならないようにジャッジしているからだ。
紙一重のわずかな点差の理由
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橋本氏自身は山田と平野流佳は甲乙付けがたいとし、「2人に同じ91点をつけたかった」というが、結果的に6人のジャッジ全員のトータルで“わずかな差”が生じ、平野流佳が4位になった。まさに紙一重の世界だった。日本メディアの間でも「表彰台が3つしかないのが辛い」というムードが漂った。
では、なぜ山田が表彰台に立てたのか。キーワードは「完成度」と「スタイル」、そして“新しさ”だ。
山田のランは、突出した回転数ではなく、全体のクリーンさと高さの安定感が際立っていた。すべてのヒットでしっかりと高さを出し、着地も乱れない。その安定感は、ジャッジにとって明確な加点要素となる。
さらに評価されたのが、ダブルマックツイスト1080(3回転)からのスイッチ・マックツイストや、最後に入れたスイッチ・ダブルアーリーウープロデオ900(2回転半)といった独創的な構成だ。いわゆる「ネバー・ビーン・ダン(NBD=これまで誰もやっていないこと)」の要素を含みつつ、完成度高くまとめてきた。単なる難易度競争ではなく、“かっこよさ”や“個性”を備えた滑り。それを体現したのが山田だった。


