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那須川天心が敗者エストラーダの手を掲げ…記者の驚き「こんな姿は初めて」いったい何が変わった?「ずっと怒られていた」崖っぷちから“生還”するまで

posted2026/04/18 17:02

 
那須川天心が敗者エストラーダの手を掲げ…記者の驚き「こんな姿は初めて」いったい何が変わった?「ずっと怒られていた」崖っぷちから“生還”するまで<Number Web> photograph by Susumu Nagao

再起戦で“変貌”を遂げた那須川天心。元2階級制覇王者のエストラーダに9回終了時TKOで完勝した

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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Susumu Nagao

 熱戦に終止符が打たれると、那須川天心(帝拳)は健闘を讃え合うように、悔し涙を浮かべるフアン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)の手を高々と上げた。

 4月11日、東京・両国国技館で行われたWBC世界バンタム級挑戦者決定戦。いったいどんな心境の変化があったのだろうか。キックボクサー時代からずっと天心を見続けているが、こんな姿を見るのは初めてのことだった。

 少年時代、ボクシングのイロハを教えてくれた葛西裕一トレーナーと再びコンビを組んだことで、ファイトスタイルだけではない何かが変わったのか。そう思ったのは筆者だけではあるまい。

「自分のことを信じられないときも…」

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 10ラウンド開始前、エストラーダ陣営がレフェリーに棄権を伝えると、天心はなんともいえない複雑な表情を浮かべた。勝利の喜びと、とてつもなく大きなプレッシャーから解放された安堵が混ざり合い、自然と涙が滲んできたのだろうか。その瞬間の感情について尋ねると、天心は「なんだろうな、初めてな感じでしたね」と答えた。

「勝ったっていうのもそうですし……。7、8ラウンドくらいから完璧に自分のペースになってきたので。『よし、ここからだ』ってときに、セコンドの葛西さんからは『もっと行け』と言われて、エストラーダより怖かったんですけど(笑)。まだまだやれることもやりたいこともあるので、そこを今後はもっと強くしていきたい」

 完勝といえる内容だったが、余力を残したうえでの勝利だったことが推察できる。その一方で「試合前はずっと不安があった」と打ち明けた。

「自分のことを信じられないときもあったし、それを乗り越えると大丈夫になったり、ずっと表裏一体なところに日常があった。でも、それ(不安)も素直に受け止められるようになったところが、自分でも成長したと思います」

 そして技術やフィジカルだけではないところに勝因を求めた。

「先のことを考えるとかではなく、本当にいまこの瞬間をずっと生きてきた、というのが今回の勝因だったと思います」

【次ページ】 じつは短期決戦型だが…霧散した“2ラウンドの壁”

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