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「知性」で英撃破も…元日本代表監督が弱点ズバリ「オランダに勝つのは可能。だがフランスとは」「王者への力は得ていない」トルシエの視点
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田村修一Shuichi Tamura
photograph byJFA/AFLO
posted2026/04/19 17:01
トルシエは日本代表がイングランド相手に知性で勝利をものにしたと称えるとともに、他のW杯優勝候補国との差についても本音を明かした
「イングランド戦で日本が見せたのはそうした進化だった。スコットランド戦でもすでに見て取れたが、同時に多少の不安もあった。スコットランドは強固だがそこまで優れたチームではなかったからだ。イングランドは違う。世界のトップ5に入るチームだ。そのイングランドですら、フィジカル面でも日本を圧倒できなかった。
ただフィジカルが、日本の弱点であるのに変わりはない。もしイングランドが試合開始直後にCKか何かで得点をあげていたら、その後はどうなっていたかわならない。この身体能力の問題はいまだ解決されてはいない。だからこそ日本は、ボールを支配してプレーすることを余儀なくされる。ボールを保持してゲームを支配する。それがイングランド相手にもできることを示した点で、昨日の試合には大きな意味があった」
――しかしイングランドもスコットランド同様にアングロサクソンのチームで、そのプレースタイルはロジカルです。相手がラテン系のチーム……アルゼンチンやフランスと戦ったときも、日本は同じようにできるのでしょうか。
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「デュエルにおける弱さは常に存在する。フランスの選手たちは誰も屈強で身体能力が高い。日本がボールを保持していさえすれば、問題なく同じことができる。しかしボールが相手側にあるときには、フィジカルとアスレチックの問題が顕在化する。FIFAランキング1位のフランスと試合をしたら、日本は互角には戦えない」
オランダには勝つ可能性が。しかし王者の力は
――アルゼンチンやスペインともそうでしょうか。
「しかしイングランド戦と同じ戦い方をすることはできる。問題はそれを90分間は続けられないことだ。イングランド戦でも終盤は、中村も伊東も堂安も三笘も疲労でパフォーマンスが低下した。60分を過ぎるあたりから、疲労の問題が顕在化する。そして彼らに代わって入る選手たちは、彼らと同様の攻撃のインパクトを与えることができない。
守備に関しては小さなインパクトは与えられるだろう。しかし身体能力の差は存在し続けている。日本の問題はこの差であり、それを埋めるコーチングの欠如だ。中3日や4日で試合が続くW杯では疲労や怪我の問題が生じる。1、2試合ならば、日本は世界のトップ相手にも十分に渡り合えるし、すでにそれを証明している。しかしフィジカルとアスレチックの問題は解決されておらず、個のインパクトを与えられる選手の数も、増えたとはいえまだまだ限られている。特に守備における個のインパクトの問題は大きい」
――たしかに守備における個のインパクトの欠如、フィジカルの相対的な弱さは、日本の弱点であるかもしれません。

