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プロ野球で異変“スター選手が高齢化している”問題「人気ベスト5、全員30代だった」どうなる野球人気? カギ握る“23歳のイケメン”スター候補
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岡野誠Makoto Okano
photograph byJIJI PRESS
posted2026/04/02 11:01
プロ野球人気のカギを握る、23歳のスター候補とは?(写真は楽天・宗山塁)
幼い頃に好きになった選手が、日本シリーズという大舞台で再び煌めきを放ち、当時の感情を思い出したのかもしれない。一般的に、本拠地で長年チームを引っ張ってきたベテランが代打で登場すると、大声援が巻き起こる。あの現象と似ているように感じる。
ベスト15を見ると、柳田や今宮に限らず、ポストシーズンやオフの動向で目立った選手が上位にランクインしている。ワールドシリーズMVPの山本由伸、今季からメジャー挑戦の岡本和真、今井達也、村上宗隆が大幅に順位を上げた。1年を通した公式戦よりも、短期決戦や直近のインパクトが以前に増して重要になっているようだ。
人気選手が高齢化している問題
柳田、今宮の長年に渡る人気は素晴らしいが、ランキングの硬直化は気になる。ベスト5は全て30代で、37歳が2人もいるのだ。ベスト15(18人)で20代は6人しかおらず、25歳以下は宗山、森下のみ。これは昔からの現象なのか。
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巨人の長嶋茂雄監督が永久欠番・背番号3を復活させ、オリックスのイチローが日本最後の年となった2000年春のセンバツ球児の「好きなプロ野球選手」ランキングを見てみよう。
13位タイ:11票 清原和博(32・巨人・一塁手)
13位タイ:11票 関川浩一(31・中日・外野手)
13位タイ:11票 石井琢朗(29・横浜・遊撃手)
11位タイ:12票 秋山幸二(37・ダイエー・外野手)
11位タイ:12票 元木大介(28・巨人・三塁手)
10位:18票 上原浩治(24・巨人・投手)
8位タイ:19票 松井秀喜(25・巨人・外野手)
8位タイ:19票 二岡智宏(23・巨人・遊撃手)
6位タイ:20票 古田敦也(34・ヤクルト・捕手)
6位タイ:20票 桑田真澄(32・巨人・投手)
5位:23票 松坂大輔(19・西武・投手)
4位:29票 前田智徳(28・広島・外野手)
2位タイ:35票 イチロー(26・オリックス・外野手)
2位タイ:35票 高橋由伸(24・巨人・外野手)
1位:40票 松井稼頭央(24・西武・遊撃手)
※名前横は2000年4月1日当時の年齢、所属球団、ポジション。前田智徳は「前田」表記の1票含む
ベストテンの中で、30代は古田と桑田のみ。1位の松井稼頭央、2位タイの高橋由伸は24歳であり、5位の松坂大輔は19歳。13位タイまで含めると30代の選手が増えるが、主に20代が人気を得ていた。
現代の選手の高齢化は「選手寿命が伸びている」「全盛期が長くなっている」とポジティブに捉えられる一方で、「新しいスターが育っていない」というネガティブな見方もできる。今回のWBCメンバーが前回と似たような顔触れだったことからも、その点は否めない。
野球人口減少も要因?
なぜ、球界を席巻するような10代や20代が生まれづらくなっているのか。高校野球の部員減少は気になる所だろう。今年の「好きな選手」ランキング上位が高3の頃と昨今の数字を比べてみよう。
2006年 16万6314人(柳田悠岐、坂本勇人)
2009年 16万9449人(今宮健太)
2012年 16万8144人(大谷翔平、鈴木誠也、吉川尚輝)
2014年 17万312人(岡本和真)
2016年 16万7635人(山本由伸、今井達也)
2020年 13万8054人(宗山塁)
2025年 12万5381人
※日本高等学校野球連盟のホームページ参照
2014年を頂点に落ち込み、昨年はピーク時と比べ、約4万5000人も減った。総数が少なくなれば、スター出現の確率は当然小さくなる。
もちろん、これだけが原因ではない。トレーニング理論の発達で肉体的な衰えが緩やかになり、データ分析の進歩で今まで以上に経験が生きるようになった点も見逃せない。そのため、若手の出てくる余地が狭くなっているのだろう。
23歳のスター候補…宗山塁とは?
逆にいえば、この状況下で23歳の宗山は昨季、新人ながらベストナインを獲得。遊撃手としては石毛宏典(西武)以来44年ぶりの選出であり、高校生が憧れを持つのは必然だろう。
また、人気ベスト15を見ると、2000年は松井稼頭央、イチロー、高橋由伸、二岡智宏、2026年は今宮健太、坂本勇人、吉川尚輝、小林誠司などのように、甘いマスクの選手が入っている。アマチュア時代、〝明治大学のプリンス〟と呼ばれた宗山は、スターになる要素を兼ね備えている。
宗山の人気の理由は、滝澤夏央の分析で触れたように、小柄な体型も関係しているだろう。球児は「好きな選手」イコール「目標の選手」とする傾向がある。ベストテンの身長を見ると、180cm台が当たり前の球界で、170センチ台が13人中6人もいる。
山本由伸178センチ 吉川尚輝177センチ 宗山塁175センチ
今宮健太172センチ 近藤健介171センチ 森友哉170センチ
この中でも、172センチと低めの今宮は投手から野手に転向し、強豪ソフトバンクでショートを奪取。体格のハンデを努力によって乗り越えたため、長年に渡って、人気上位に顔を出している。同じショートで、大柄とは言えない体格の宗山は、高校球児人気でも「ポスト・今宮」の最右翼と言える。
今年、2人と同じ遊撃手の球児は「好きな選手」に誰を挙げたのか。



