- #1
- #2
モータースポーツPRESSBACK NUMBER
「トヨタとの提携でスピード感が上がる」小松礼雄ハースF1代表の“ジャイアントキリング”戦略「400人規模でも、全員が力を出し切れるチームに」
text by

雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byAsami Enomoto
posted2026/03/27 11:03
ビッグチームの半数以下の規模のハースが上位陣と渡り合うために必要なこととは。小松代表がその組織論を語る
——それから10年が経ちました。徐々に組織も大きくなっています。
「最初は車体づくりだけでなく、設計もほぼダラーラでした。でも、今は設計は完全にうちがやっています。ダラーラとも一緒に成長してきたし、今年の車体はすごくいいレベルにある。
フェラーリとはこっちで手を組み、ダラーラとはあっちで手を組み、それでも一緒にやっていない領域はまだいっぱいあります。そちらにもテクニカルパートナーが必要で、ポンとトヨタが来てくれたわけですよ。たとえばレギュレーションではフェラーリとはエアロサーフェスの部分を共有してはいけない。規則として入ってこられないので、そうした部分はトヨタと取り組んでいます」
ADVERTISEMENT
——今季はスポンサーも新たに4社増えて、さらにスタッフも増やしていけそうですね。
「いや、今年はあえて大きく変えず、昨季後半から人数は増やしていません。もちろんもっと人員は必要ですよ。でも『400人まで増えて、この人数のベストのパフォーマンスが出せているか』と考えたときに、まだだなと強く感じました。この400人でもう一度まとまって、うまくできていないところ、効率が悪くなってきたところ、コミュニケーションが取り切れなくなってきたところを改善する。400人で出せる力をフルに発揮できてから、増員した方がいい。その方が組織が壊れません。一度壊れてしまうと元に戻すのは本当に大変なんですよ」
ルノー時代に経験した組織運営の難しさ
——チーム代表就任時も「やるべきことは戦える集団にしていくこと」と話していました。人数が増えたことで薄れてきた部分を再強化するということでしょうか。
「いや、薄れてないです。薄れたらもう後手なので、先手を打たないと。僕がエンストン(ルノーのF1技術部門の拠点)にいた2006年、小さかった組織がチャンピオンを獲って一気に大きくなったんです。ところが、効率の良さだとかエンストンの強みだなと思っていた組織の風土が崩れてしまった。
当時は一技術者ですが、まったく違う立場でもそれって感じるんです。それで1回縮小しなきゃいけなかった。すごく効率が悪いし、うちのチームではその状態からやり直せる体力もありません。他のビッグチームに比べたら、ハースは1/3の規模ですけど、もっとうまくやれることはある。うまく回ってるなと判断できたら、またリクルートを再開しようと思います」

