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「“人工的”に追い抜ければいいってもんじゃない」ハース小松礼雄代表が今季の“マリオカート”F1に提言「ルールはどんどん改善されるでしょう」
text by

雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byHaas F1 Team
posted2026/03/27 11:02
新レギュレーションでビッグチームも混乱する今季、好スタートを切ったハースの戦略を小松礼雄代表が語った
——開幕戦後はハースのドライバーたちも違和感を口にしていて、追い抜きが「人工的だ」という声もあります。エステバン・オコンは「ドライバーとしてできることがあまりなくて辛い」と言い、オリバー・ベアマンも充電に追われる状況を「これはレースじゃない。まるでフォーミュラEにいるみたいだ」と話していたようです。そのあたりのドライバーの心情は理解できますか?
「少しエネルギーの使い方が違うだけで20~30kmの違いが出て、それが追い抜きの大きなファクターになっている。そういう意味では人工的といえば人工的ですよね。以前のようにブレーキングをなるべく遅らせて突っ込んで抜く、という抜き方じゃなくなっていますから。
エネルギー回生のためにスーパークリップ、リフト&コーストをするということは、要はブレーキを踏んでいる時間がすごく短い。340kmから一気にブレーキを踏んで80kmまで落としているわけじゃなくて、スーパークリップやリフト&コーストによって減速してきたところでブレーキを踏むので、ブレーキングの時間が短いんです。元のその時間が長ければ長いほど、それを短くすることで他のドライバーに差をつけて追い抜けるわけですが、最初からその時間が短いから差がつきにくい」
コースで「何か」が起こればそれでいいのか?
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——(F1を統括する)FIAによれば、開幕戦はコース上での追い抜き回数が昨年の45回から120回に増えたそうです。エキサイティングなレースだったと評価していいのでしょうか。
「本当に醍醐味のある追い抜きであったのかは疑問が残ると思います。でも、それってファンが何を求めているかにもよるんですよね。数年前にフォーミュラEの東京大会を見に行ったことがあります。そこで感じたことを正直に言えば、申し訳ないけどあまりエキサイトしなかった。ドライバーがリスクを負ってギリギリを攻めて、抜いているという感じがまったくしなかったんです。でも、周りの反応は全然違っていて、スタンドに座っている人たちは大喜びでした。それはトラック上で何かが起こっているから。追い抜きがあって、順位が変わっているからなんですよね。
F1も何かが起こっていなきゃいけないけど、そのバランスだと思うんですよ。今までのように空力に頼りすぎていて、まったく何も起こらないのはつまらない。かといって、人工的に何か起こせばいいってもんじゃない。そこのバランスはまだうまく取れているとは思っていないし、それはみんな認識しています」

