侍ジャパンPRESSBACK NUMBER
「ベネズエラ29人、日本6人」「153キロ以上は3投手だけ」数字から見えた“侍ジャパン本当の敗因”…メジャーリーガーが本気になったWBCで、日本はいかに敗れたか?
text by

笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byNanae Suzuki
posted2026/03/24 17:02
ベネズエラ戦でベンチに下がる伊藤大海
6回に伊藤がアブレイユに被弾した場面は、外野フライで同点の場面だ。打者とすれば、追い込まれるまでは高めの速球に目付けをし、バットヘッドを遅らせ振り抜けば、犠飛になり易いと考える場面だといえる。そこで伊藤、若月のバッテリーは2球目と4球目に高めの直球を選択した。さらにこの日の伊藤の直球の球速帯だ。日本では150キロ台中盤を計測するが、この日はなぜかボールが走らない。被弾したのは90.9マイル(約146キロ)。しかも要求は内角高め。この球速で打者が意識する高めの直球を投じたのでは、打たれて当然だといえる。日本が得意とする緻密な配球はどこへいったのか。その責任は分析担当やバッテリーコーチなど、多岐にわたると考えられる。
WBCを真の世界大会に育てたのは日本である
手厳しいことばかりを書いてきたが、ストリーミングではあるものの、今回のWBCを各予選ラウンドから見てきた。そこで思ったことは、各国の戦いから今までにない“真剣”さが伝わってきたことだ。
ドミニカ共和国のスーパースター、ウラジミール・ゲレロは、昨年のドジャースとのワールドシリーズで本塁打を放っても淡々とプレーしていたが、今回のWBCでは雄叫びを挙げチームを鼓舞した。国を背負い懸命にプレーする姿に、この大会がようやく真の世界大会へと成長したと感じた。
ADVERTISEMENT
だが、忘れてはならないことがある。世界の強豪国がこの時期に真剣に戦うようになった背景は、過去5大会で3度の優勝を飾った日本野球にある。特に23年に決勝で米国を3対2で退けた戦いは、各国の心に火をつけた。WBCを真の世界大会に育てたのは日本なのだ。
しかし、今後は実力国がメジャーリーガーでロースターを揃え、真剣に戦うことがノーマルとなる。今回以上に厳しい戦いが待ち受けているだろう。その中でNPB関係者、そして日本の選手たちは何を考え、どのようなアプローチをとり、戦っていくのか。
再び日本が世界一を勝ち取るためには、何をすべきなのか。関係者の全員が、この課題に真剣に取り組む場を設けてもらったことに、今回の早期敗退の意味はあると思っている。

