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偉大な先輩・小平奈緒の「おまじない」が五輪好記録を後押し…スピードスケート山田梨央“極度に緊張する性格”をほぐした「応援しちゃダメ」!? 

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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photograph byKaoru Watanabe/JMPA

posted2026/03/11 17:01

偉大な先輩・小平奈緒の「おまじない」が五輪好記録を後押し…スピードスケート山田梨央“極度に緊張する性格”をほぐした「応援しちゃダメ」!?<Number Web> photograph by Kaoru Watanabe/JMPA

ミラノ五輪スピードスケート代表の山田梨央。遅咲きの彼女を力付けていた偉大な先輩・小平奈緒との秘話を追った

「その方から『奈緒さんが、“梨央ちゃんは緊張しちゃうから応援をしてはダメなんだ。自分の力を大会にぶつければいいんだ”と話していたぞー』と言ってもらって。奈緒さんの優しい心遣いを感じました」

 山田は長野県諏訪市生まれ。物心がついた時からスケート靴を履き、かつて小平さんが通ったスケートクラブに入団した。憧れの人の母校である伊那西高校に進むと、1年生の時に早くも全日本ジュニア選手権スプリント部門で総合優勝を果たすなどして将来を嘱望された。卒業後に進んだのは信州大学。その道も憧れの人が歩んだのと同じコースだった。

 大学入学後は結城監督に師事し、小平さんと一緒にトレーニングをしながら少しずつ実力をつけていった。だが、日本代表への道は遠からず近からずというボーダーラインにいることが長く続いた。

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 頭角を現したのは、大学卒業後に長野県の地元企業である直富商事に就職してからだ。22年10月に小平さんが引退してから約3カ月後の23年1月、高校時代に捻挫した影響で伸びていた両足首の外側のじん帯を手術。足首が緩いために体を大きく使えなかった難点を克服すると、その後は国際大会で上位に迫れる実力がついた。

今季成長を見せるも唯一の心配は……

 昨季は滑りの安定感が増し、それに連動するように成績も上位で安定するようになった。25年3月にノルウェー・ハーマルで行われた世界距離別選手権では、500mこそ11位だったが1000mは6位。ワールドカップでも総合ランキングで一時一ケタになった。そして、今季はさらに安定して力を発揮するようになり、自身初の五輪の舞台となるミラノ・コルティナ大会の代表入りを果たした。

 身長156センチ。スピードスケート界ではひときわ小柄な体格でも、世界の上位陣に食らいつける実力をつけることはできた。だが、唯一、心配があった。レースになると極度に緊張する性格であることだ。

 昨年末にミラノ・コルティナ五輪の代表入りが決まってからは、五輪の本番で体がガチガチになったり、忘れ物をしたりする夢を20回以上も見たという。最初の種目だった1000mの前夜にも、「会場の雰囲気に飲み込まれて、スタートラインに立ったら震えが止まらない夢を見た」。

【次ページ】 父にこの舞台を見せたかった

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