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チェコでWBCが生中継…野球人気の今「日本語が書かれたチェコ選手のグローブ」ベンチになぜ日本の達磨? 現地記者は見た「オオタニとの対戦は夢だった」
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水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byGetty Images
posted2026/03/10 11:47
前回大会に引き続きWBC本戦に出場しているチェコ代表。母国の野球人気は?
チェコのベンチには、日本の達磨が置いてあった。日本の関係者から贈られたものを大事に持参したもので、主将を務めるマルティン・ムジークは「願いが叶ったら白い方の片目を塗るんだって教えてもらった。僕らのラッキーアイテムだよ」と教えてくれた。
戦いは韓国、オーストラリア、台湾を相手に初戦から3連敗で早々に1次ラウンド敗退が決まった。特に3戦目はともに2連敗同士の台湾との戦いで、0-14で7回コールド負けを喫し、試合後、うなだれる選手たちの中には涙を浮かべた者もいた。
「オオタニと対戦は夢だった」
だがハジム監督は前を向いていた。
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「国同士の対決だとしても、野球は戦争とは違う。この3試合を私たちはエンジョイしていたし、大勢の観客の前でプレーすることは喜びですし、今回も日本と日本のみなさんとの交流を楽しんでいます」
敗退が決まった後の日本戦も、その気持ちは変わっていない。むしろ大谷翔平や鈴木誠也ら一線級のメジャーリーガーと対戦できる機会を心待ちにしていた。今回初めてWBC代表入りを果たした20歳の投手オンジェイ・バンクもその1人。現在、米コロラド州にあるノースイースタン短大のチームに所属しており、MLBや米国野球が身近なだけに尚更だった。特に世界的スーパースターで雲の上の存在といっていい大谷と対戦できるかもしれないという状況に、胸を躍らせている。
「オオタニと対戦することは、少年なら誰もが抱く夢だよ。マウンドで打席にいる彼と向き合う場面をイメージして、すでに何度もシミュレーションしている。あのオオタニに対して初球をどの球で入るか。このカウントになったらどの球を使うかとか、いろいろ考えている。もちろんリスペクトの気持ちで向かっていくが、リスペクトし過ぎたくはない。自分を信じてやるべきことをやり、アウトを取りに行きたい」
大谷が前回大会で、米国代表と対戦する決勝前にチームの前で「今日だけは、憧れるのをやめましょう」とスピーチしたことが話題になったが、バンクにとって今回の日本戦はまさに「憧れるのをやめましょう」という気持ちで臨んでいる。大谷と対戦する、マウンドでその瞬間を迎えることができたら、それは一生忘れられない最高の瞬間になるはずだ。

