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「私から(浅田)真央が受け継いでくれて」そして“浅田に憧れた”中井亜美・島田麻央へ…レジェンド伊藤みどりが語った「トリプルアクセルの系譜」 

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野口美惠

野口美惠Yoshie Noguchi

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photograph byKYODO

posted2026/03/02 17:02

「私から(浅田)真央が受け継いでくれて」そして“浅田に憧れた”中井亜美・島田麻央へ…レジェンド伊藤みどりが語った「トリプルアクセルの系譜」<Number Web> photograph by KYODO

伝説の先駆者・伊藤みどりさんが、誰もが憧れる大技“トリプルアクセル”の魅力とその歴史を語り尽くした

「樋口さんは、ジュニアの時代からジャンプに秀でている選手でした。スケーティングそのものに魅力があり、ステップやつなぎのフットワークもしっかりしていることで、ジャンプに流れと回転力があるんです。トリプルアクセルも、スピードを生かした高さがあります。今季はショート、フリーともに成功させているというのが大きなこと。曲が変わるとタイミングが掴みにくくなるものですが、技術が安定してきている証拠です」

 また紀平の後輩にあたる河辺愛菜も、'21年11月のNHK杯で成功。日本女子6人目の成功者として名を連ねた。

「回転力や跳びあがるタイミングのバランスもよく、目の前に成功者がいることで、良いトリプルアクセルを習得しているのが分かります。まだ若く、瞬発力もあり、空中でのコントロールも上手。まだまだ伸びていくでしょう」

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 すでに試合で挑戦している選手もいる。今季のジャパンオープンでは、宮原知子が初挑戦。山田門下生の松生理乃も、回転不足ながら片足で立った。

「松生さんは、山田先生のすごい練習量についてきている後輩です。もともと明るい性格で、物怖じせずに何事にも挑戦して行けるタイプで、トリプルアクセルへの意欲も十分。成功の日が待ち遠しいです」

トリプルアクセルの前に4回転を跳んでいた島田麻央

 4回転を跳んでいる中学生にも注目している。13歳の島田麻央だ。

「トリプルアクセルよりも先に4回転トウループを降りている、今の時代の選手です。ロシア女子の影響もあり小さい頃からどんどん高難度のジャンプを練習している。昨季はトリプルアクセルも試合で挑戦していましたし、成功は近いでしょう」

 もちろん伊藤は、トリプルアクセルの魅力だけでなく、リスクについても語る。

「今は世界で勝つためにはトリプルアクセルや4回転を回避できない時代になりました。しかし若い女子が高難度のジャンプを練習するのは怪我のリスクが大きいです。また円熟味が出てくる前に、高難度ジャンプが跳べずに辞めてしまう選手もいる。それは少しもったいない気持ちになります」

 そう警鐘を鳴らした上で、こう話す。

「トリプルアクセルは大技というだけでなく、自分を見つめ直し、身体の成長と付き合い、戦い方を考え、精神が成長していく技です。トリプルアクセルに挑んだ女子達は次の人生で壁に当たった時に、挑戦し続けた日々が支えになるはず。これからも後輩達にバトンが渡っていくと嬉しいです」

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