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フォルティウスへの“辛辣な声”に識者「メンタルが弱いとは捉えてない」「他の冬季競技と違って」カーリングは何が難しいか…心理・医科学からズバリ
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byTsutomu Kishimoto/JMPA
posted2026/02/27 11:02
ミラノ・コルティナ五輪を8位で終えたカーリング女子日本代表フォルティウス。競技特性の難しさを心理学・医科学的に見ると?
「いわゆるメンタル面を専門的に評価する指標はいくつかあります。少なくとも私が検査した日本代表選手は、競技を問わずその値が総じて高く、総合的に見て高強度です。特にフォルティウスは、2023年WBCで野球日本代表のコーチを務められた白井一幸先生(北海道医療大学)をメンタルコーチ兼チームビルディングコーチとして契約されていますので、メンタル強化には余念がなかったはずです」
――その中でカーリング女子日本代表は、今回の五輪で厳しい戦いを強いられました。
「大会中、現地で解説をされた石崎琴美さんがフォルティウスについて『すごく真面目なチーム』と表現されていましたが、その点が臨床的には今大会の鍵を握っていたと考えられます」
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――というと?
「『真面目』という言葉の意味を辞書で引くと『真剣であること』との定義があります。私の臨床経験上、これはスポーツシーンに限らず実生活でも同様ですが、『真剣』な性格の方ほど、皮肉にも『深刻』な心理状態に陥りやすい傾向が認められます。そしてチームスポーツを含め、真剣なメンタリティの方々が集まった場面での反応として『真剣(深刻)さが極端になる』集団心理が働きやすくなります。そこが先ほど触れたリスクだと見ていましたので、今大会前に関係者ともコミュニケーションを取り、私の専門である臨床心理学・行動医科学的なアドバイザリーの必要性を訴えた経緯があります。しかし、時間的な制約などもあり、残念ながら実現には至りませんでした」
カーリングが“科学的に独特な競技”なワケ
――フォルティウスは実直さをベースとしたチーム作りで、昨年12月の五輪最終予選では予選リーグ1位、プレーオフでもノルウェー相手に勝利して悲願の出場権を獲得しました。対照的に五輪では苦境が続いた結果、メンタルにも影響を及ぼした点があるということですね。
「一方、カーリングの競技特性も重要なファクターです」
――臨床心理学や行動医科学的に見て、カーリングの特性が何かの影響を及ぼすのでしょうか?
「カーリングは、各エンドにおいてラストロックを投じられる後攻が有利とされます。また、局面ごとのストーンの配置によって、定石や得点期待値が読みやすい、読まれやすいことも特徴です。一般に、そのような状況に置かれた人間は〈得ることの喜び〉よりも〈失うことの怖さ〉の方が上回りやすくなります。こうした心理を『損失回避バイアス』と呼びます。資産運用よりも貯金を好む国民性からも窺い知れるように、特に日本人が囚われがちな防衛本能だと言えます」
――そのほかの特性はあるのでしょうか。

