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坂本花織は抜けたジャンプを“跳び直す”べきだったのか? 女子シングル「僅差の大激戦」を分けたものを本田武史が指摘…「彼女は自分を貫いた」
posted2026/02/27 06:03
特筆すべき活躍を見せた日本勢だったが、アリサ・リュウに僅差で及ばなかった坂本は、ジャンプを跳び直すべきだったのか? 本田武史氏が女子シングルを総括した
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石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
Asami Enomoto/JMPA
ミラノ・コルティナ五輪フィギュアスケート女子シングル。表彰台に上がったのは、五輪前からメダル候補に挙げられていた3人だった。
SPでは17歳の中井亜美が3回転半を決めて首位に立つと、2位にエース坂本花織が、そして4位には20歳の千葉百音がつけた。フリーの結果次第では日本勢が表彰台を独占するかもしれない……そんな期待を抱かせた。
アリサは必ず上がってくる
だがアンバー・グレンら海外勢がこのままで終わるとは思えない。なかでもSP3位につけていたアリサ・リュウは最終決戦の主役の一人だと位置づけられていた。
「アリサ・リュウは必ず上がってくるだろうと思っていました」
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1998年長野五輪、2002年ソルトレークシティ五輪男子代表で現在はプロスケーター、コーチとして活躍する本田武史さんもSP後、フリーを前にそう予想していた。
SPでは3位だったとはいえ、決して調子が悪いわけではなかった。大きなミスもなく、上がる余地のある3位だった。
日本勢が1、2、4位を占められたのは理想的だったが、リュウは勝負どころになるとより強さを発揮するタイプだけに、脅威であることは間違いない。
実際、フリーではジャンプでも回転に余裕があり、最後までスピードが落ちず、空間を支配していた。完璧に近い演技を見せると、女子で唯一、得点を150点台にのせ、逆転優勝をさらっていったのだった。
リュウは16歳で一度引退し、その後、競技に復帰している。“勝たなければいけない”という重圧は薄れ、その自由さが、ジャンプの質と表現力を五輪という大舞台で最大化できていたように見える。彼女の演技には、“勝ちにいく”という執念よりも、“滑りたい”というスケーターとしての本能が現れていた。


