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坂本花織は抜けたジャンプを“跳び直す”べきだったのか? 女子シングル「僅差の大激戦」を分けたものを本田武史が指摘…「彼女は自分を貫いた」
text by

石井宏美Hiromi Ishii
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2026/02/27 06:03
特筆すべき活躍を見せた日本勢だったが、アリサ・リュウに僅差で及ばなかった坂本は、ジャンプを跳び直すべきだったのか? 本田武史氏が女子シングルを総括した
「本当に楽しく滑っているなという印象でしたね。オリンピックの舞台であれだけ楽しく滑ることのできる選手はなかなかいません。それを氷上でできたことが今回の金メダルにつながったと思います。ジャンプは力みがなかったですし、しかも安定していました。全体的にミスが少なかったことも勝因でしたね」
坂本はジャンプを跳び直さなくてよかったのか?
とはいえ、最終的に2位になった坂本との差は1.89点というわずかなものだった。坂本が予定していた連続ジャンプを成功させていれば、上回ることができた差だったともいえる。
「フリップとトウループの連続3回転を予定していましたが、コンビネーションにならず3回転フリップの単独ジャンプになりました。前半に同じジャンプを跳んでいたため、(繰り返し扱いとなって)基礎点が減点されたことも響きましたね」
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演技後半の冒頭に予定していたコンビネーションが単発に終わったとき、どんなことが坂本の頭をよぎったのだろうか。本田さんはこう推測する。
「連続ジャンプが単発になったところで、修正して、その後のジャンプに3回転をつけるリカバリーも頭に浮かんだと思います。たとえば、最後のジャンプの3回転ループをコンビネーションにするとか」
コンビネーションジャンプが単発になったときのリカバリーのため、選手たちはそうした状況ではどのジャンプをどこにつけるのか、事前にある程度決めておくものだという。
「本番中にすぐに対応できるほど簡単なことではないので、そういったときはどのジャンプを跳ぶのかあらかじめ決めておきます。規定数を超えてジャンプを跳ぶと、繰り返し違反となり基礎点が0点となってしまいますから。
ただ、彼女は総合的に考えて、(ジャンプを追加せず)その後のスピンでしっかりとレベルを取ることを重要視したのではないでしょうか。ループからスピン2つという流れで練習をしてきたので、それを崩したくなかったのかもしれません」

