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「必要ですか? 翔平」WBC侍ジャパン前監督・栗山英樹が明かした大谷翔平招集秘話…会談は「2人で3分だけ」“栗山メモ”に記された大谷への感謝
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金沢隆大Ryuta Kanazawa
photograph byNanae Suzuki
posted2026/02/26 11:02
WBCで侍ジャパンを世界一に導いた栗山英樹監督。大谷翔平の招集秘話を明かした
この日のメモ。
【球場サロン待ち合わせ! 練習が終わり次第行くということだったが、待たせてはいけないし、先に部屋で待つと、ダルがどうしてもと言っていたそうだ。その思いが嬉しい】
ダルビッシュから“想定外の提案”
日本代表監督とメジャーを代表するピッチャーという立場で再会した2人。だが、その場でダルビッシュから様々な事情が絡まり代表に入ることが難しいということを伝えられた。チームに欠かせない存在と考えていただけに言葉に詰まる。それでも取り繕うことはせずに、栗山はありのままの思いをぶつけた。日本が勝つためだけではない、日本の野球界の未来への道しるべとなる右腕がどうしても必要だ、と。するとダルビッシュから想定外の提案を持ちかけられた。
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「スコアラーやりましょうか」
この発案に心が揺れなかったと言えば嘘になる、と栗山は告白した。
「例えばトラウトをどう攻めるのかという説明をしてくれた。一番弱いところははっきりしているし、そこに投げきれるかどうかだと。そういう情報もものすごく欲しかったです」
そのときの様子を思い出すように目尻に少し皺を寄せて再び語る。
「だけど、そこでスコアラーいいねって言った瞬間にそっちに行っちゃうと思ったので。選手として来てくれたらそれもやってくれる可能性がある。だからこちらのスタンスとしては、ダルビッシュ“投手”が必要なんですって」
想像もしていなかったアイデアに引っ張られそうになる自分を引き戻した。顔色を変えないように腐心したとそのやり取りを振り返った。
回答期限は設けず「信じて待つ」
帰国した後、栗山はとにかく反応を待った。自ら探りを入れたり、回答期限を設けたりすることは決してしなかった。そこには信念があった。z
「プレーしやすい、出やすくなる環境はたくさん作る。だが、絶対にせっつくまいと思っていた。『なんとか出られない?』とか『いつまでなら大丈夫?』というのは選手を苦しめる。誠意だけ尽くして、聞かれたら答えるけど待ちの姿勢に徹する。交渉は一切しなかったし、してはいけない。信じてこちらから話したなら最後まで待つ」
少し早口になった栗山の言葉は熱を帯びていた。

