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高校野球で素朴な疑問「普通の公立校は…仙台育英に勝てる?」《昨夏は県ベスト4》宮城トップ級進学校に聞く“番狂わせの起こし方”「量より質に逃げない」 

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二瓶祐綺

二瓶祐綺Yuki Nihei

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photograph byAsahi Shimbun

posted2026/02/25 11:01

高校野球で素朴な疑問「普通の公立校は…仙台育英に勝てる?」《昨夏は県ベスト4》宮城トップ級進学校に聞く“番狂わせの起こし方”「量より質に逃げない」<Number Web> photograph by Asahi Shimbun

昨夏の宮城県大会では39年ぶりにベスト4まで進出した仙台一高。準決勝は“絶対王者”仙台育英に完敗となったが、番狂わせは可能なのだろうか?

 だからこそ、千葉監督は「番狂わせを起こすのであれば序盤」だと考えている。その点では「シードであることが必ずしも有利に働くとは限らない」とまでいう。そのため、夏のシードを決める春の大会をどう戦うかも重要であると語る。

 戦術的な面としては「ロースコアの展開に持ち込まないと勝つのは難しい」と千葉監督は語る。

「選手たちが口にしているように、打力の差は埋めないといけないですから、練習ではどんどん振らせます。でも、波が少ないのは、やっぱり守備と走塁なんですよ。これをより高めていく作業をした方が、たぶん公式戦向きになると思うんですよね」

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 その考えの裏には、強豪私学の分厚い投手層の存在がある。

 仙台育英が好例だが、140キロ、150キロを投げる投手が複数人いるチームを相手にすれば、チャンスを作っても危なくなればすぐに継投されてしまう。実際に昨夏も、仙台育英の先発・梶井湊斗を攻め立てて2回、3回と連続でチャンスを作ったが、すぐ別の投手に代えられてしまい1点しか奪えなかった。

「勝つ確率を上げるという考えは難しくて、負けない確率を上げていく。どうしたら負けないかということを、とことん突き詰める。だから10対9のゲームは作ろうと思っていなくて。勝てるとしたら1対0のゲームです」

 とはいえ長打力をあげつつ、守備力も高めていく……というのは当然ながら難しい。単純に膨大な練習量が必要になってくるからだ。

重要なのは「“量より質”に逃げない」こと?

 だからこそ千葉監督は「“量より質”に逃げないで欲しい」と主張する。

「勉強も結局、取り組んだ時間が大事なんですよね。野球も同じで、量の中に質を求めていく」

 仙台一高は1日の授業が終わるのは15時40分になる。その後、仙台市中心部の校舎から、およそ7キロ離れた沿岸部にある専用グラウンドまで移動しなければならないため練習開始は16時30分、練習時間は2時間30分と限られている。

 この限られた練習時間で、いかに量をこなすかの工夫は、学生コーチをはじめとした部員自らが考えている。田原口が語った冬季練習のテーマに象徴されるように、その考えは監督から直接言われなくても選手たちへと浸透している。

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