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旧帝大に80人、東大・京大合格者も…“偏差値69”宮城トップ級進学校の野球部が“県大会ベスト4”のナゼ「自主性重視でも…自分勝手にはさせない」 

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二瓶祐綺

二瓶祐綺Yuki Nihei

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posted2026/02/25 11:00

旧帝大に80人、東大・京大合格者も…“偏差値69”宮城トップ級進学校の野球部が“県大会ベスト4”のナゼ「自主性重視でも…自分勝手にはさせない」<Number Web> photograph by NumberWeb

例年、難関大に多くの合格者を輩出する仙台一高野球部。昨夏、39年ぶりの県大会ベスト4に入るなど近年の躍進のワケは?

 就任9年目の47歳・千葉厚監督は、この「2020年世代」が現在の躍進に繋がるターニングポイントだったと振り返る。

「2020年の代のときに秋ベスト8、夏ベスト4と結果が1個出たことが大きいです。部として続けてきた小中学生への地域貢献活動とも相まって、仙台一高が“野球で憧れの学校”になるサイクルができつつある。そういう中で意欲的で能力の高い子たちが入ってきてくれているというのは間違いないです」

 翌2021年には春の宮城県大会で準優勝。このときはコロナ禍の影響で東北大会は開催されなかったが、2年後の2023年の春にも県3位に食い込み、東北大会に出場している。

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 同年には秋にも県3位で東北大会出場。この成績が評価され、県の21世紀枠推薦校に選ばれると、東北地区の代表として最終候補まで残った。翌2024年も秋に第一シードの東北高校を破ってベスト8に入ると、2年連続で21世紀枠の県の推薦校に選ばれている。

 かように2020年世代が同校にとってひとつのターニングポイントとなったのは間違いない。その後は公立校ながら県内でも強豪の一角という立ち位置を確かなものにしているからだ。

 その2020年世代で主将を務めた森拓真も、卒業後にグラウンドを訪れた際、後輩たちの姿に、変わらない伝統を感じたという。

「後輩たちの練習している姿を見ると“自発能動”という精神が残り続けているなと思います。練習の中でも選手間や先生方とも活発に議論を交わし、工夫しながら取り組んでいる様子があって、『これが一高で野球をやる醍醐味だよなぁ』と懐かしい気持ちになりました」

仙台一高に根付く「自発能動」のスローガン

「自発能動」。これが、仙台一高の躍進を紐解く標語である。

 自主性を尊重し、日々の学習や探究活動、学校行事などでも生徒が主体となって取り組んでいく。同校の生徒主体の自由な校風を標榜する言葉だ。その校風に憧れて入学してくる生徒も多い。

 硬式野球部の活動でも同様で、日ごろから練習メニューは部員が自ら考えている。練習試合では選手起用まで自分たちで考えることもあるという。

 また、練習だけでなく地域への貢献活動も部員中心に行う。例年、仙台一高は12月に小学6年生を対象とした野球教室を行っている。少年野球チームとの交渉や野球教室の企画・運営は、すべて部員が主体となって行う。指導者は部員の自主性を尊重しながら、温かく見守る立場に徹しているという。

【次ページ】 監督が語る「自主性」と「放任」の違いは?

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