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旧帝大に80人、東大・京大合格者も…“偏差値69”宮城トップ級進学校の野球部が“県大会ベスト4”のナゼ「自主性重視でも…自分勝手にはさせない」
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二瓶祐綺Yuki Nihei
photograph byNumberWeb
posted2026/02/25 11:00
例年、難関大に多くの合格者を輩出する仙台一高野球部。昨夏、39年ぶりの県大会ベスト4に入るなど近年の躍進のワケは?
ちなみに今年度の教室では千葉監督から部員たちに1つリクエストを出したという。
「野球を教えるだけでなく、小学生にも分かるように勉強の面白さを教えて欲しい」
公立進学校の生徒たちだからこそ、これから中学校へ進む子どもたちに「勉強は面白いものなのだ」ということを伝えて欲しかったのだという。ただ、具体的な方法は指示しない。
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部員たちが考えたのは、チーム対抗のクイズだった。
正解が発表になるたびに歓声が上がり、子どもたちが拳をつきあげて喜ぶ。仲間と顔を寄せ合いながら答えを導き出す姿に、グラウンドは熱気に包まれていた。競争というスパイスを利かせた工夫が、学ぶ楽しさを引き出していたのかもしれない。
こうした野球教室の存在は、部員にとって精神的な成長の機会になると共に、単なる地域貢献に留まらない。大会で結果が出始めたことに加え、教室で選手たちから教わった小中学生が「仙台一高で野球がしたい」と憧れを抱く。そして数年後に入学してくるという好循環ができているからだ。
監督が語る「自主性」と「放任」の違いは?
一方で、同じような「自主性」に重きを置いた指導をする学校は令和の時代には決して珍しくない。その中で「部員自らが主体となって取り組むのは前提として、決して自分勝手にはさせない。そのさじ加減が重要」と千葉監督は語る。
「大人が先に答えを出してしまえば、選手が自ら気づき、考える機会を奪ってしまいます。だからこそ、まずは自分の力で挑戦してもらい、失敗から学ぶ過程を大切にしています。ただし、明らかに成功の可能性がない選択まで放任することはありません。“サークル活動”になってしまわないように、目指すべき方向性を示しながら、自主性と規律のバランスを大切にしています」
その「選手たちに方向性を示すこと」こそが監督の役割なのだと千葉監督は語る。千葉監督は仙台一高の卒業生でもあり、他校での指導を経て2017年秋に母校の硬式野球部監督に就任した。



