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ミラノ五輪 “金メダル大本命”がジャンプ競技で衝撃の「メダル圏外」…優勝候補の「まさかの誤算」と《殊勲の銅メダル》二階堂蓮の「魔法の杖」の正体
posted2026/02/10 18:00
連覇を狙った小林陵侑(左)は8位、今季W杯総合ランキング1位のドメン・プレブツは6位とメダルを逃す波乱があった男子ノーマルヒル
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雨宮圭吾Keigo Amemiya
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©Tsutomu Kishimoto/JMPA
スキージャンプ・男子ノーマルヒルの表彰台はサプライズに満ちていた。
3位の表彰台に上がったのは二階堂蓮とスイスのグレゴア・デシュバンデン。まったく同じ266.0点で並んだ2人は、本来1人で立つべきスペースに肩を組んでせーので上がり、仲良く同じように拳を突き上げた。
国旗掲揚では急遽連結されたであろう日本とスイスの横長の国旗が空に掲げられ、記念撮影では4人がぎゅうぎゅうになって写った。「みんなでかいんだもん。狭かったですよ」と唯一160cm台だった二階堂は満面の笑みを浮かべた。
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そんな光景の珍しさだけでなく、表彰台の顔ぶれ自体が実に意外だった。
金メダルのフィリップ・ライムント(ドイツ)はW杯で勝ったことのない選手で、会場の最大勢力となっていた母国のファンに背中を押されて大仕事をやってのけた。筆者の隣で観ていたドイツ人ですら「メダルを獲れたら最高で、金メダルなんて考えもしなかったよ」と驚いていた。
銀メダルのカスペル・トマシアクはポーランドの19歳。今季からW杯を回り始め、まだ表彰台に上がったことのない新鋭が、大舞台でその実力を証明した。34歳のデシュバンデンも、これが五輪と世界選手権合わせて28戦目にして初の表彰台。いずれも実力者であるのは間違いないが、事前の予想とはまったく異なる顔ぶれが並んだ。
メダリストが「まさかの顔ぶれ」になったワケは…?
波乱の背景にはノーマルヒル、そして会場となるプレダッツォの台の難しさがある。
連覇はならず8位にとどまった小林陵侑は「普段やらない台ですし、改修したことで結構厳しいジャンプ台になってました」と淡々と振り返った。現在W杯ではノーマルヒルはほとんど実施されておらず、今季も1試合のみ。小林は順応に苦しんでいた練習日の状態からは脱したものの、金メダルに届くようなビッグジャンプを見せることはできなかった。
今季W杯20戦11勝と圧倒的な金メダル候補に推されていたスロベニアのドメン・プレブツも6位に沈んだ。
確かにノーマルヒルのW杯では、これまでもトップ10入りしたことはなかった。とはいえ、今季はそうしたデータを容易に覆すほどの強さを見せていただけに、大方の予想を裏切る敗戦となった。


