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ミラノ五輪本番当日…“まさかの変更”で銅メダル獲得秘話 直前練習「しっくりこない感じ」から丸山希は何を変えた? 高梨沙羅も「勇気もらった」と感激
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雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byTsutomu Kishimoto/JMPA
posted2026/02/08 17:01
メダルが確定しガッツポーズの丸山希と伊藤有希(左)、高梨沙羅の先輩コンビ。女子ジャンプを牽引してきた2人との絆が見える瞬間だった
だが、オリンピックシーズンで訪れた突然の飛躍に、本人も不安がなかったわけではない。それはトップで戦ってきた経験の浅さによるものだった。
「やってきたことが1つずつ積み重なって、今シーズンはW杯でもいい状態で戦えていました。ただ、オリンピックまで(調子の良さが)持つかなという不安も正直ありました」
年が明けてからは周囲が調子を上げてきたこともあり、目に見えて優勝も表彰台に上がる回数も減っていった。今大会の会場に入ってからの公式練習の内容も、そんな不安に拍車をかけるようなものだった。アプローチ中にGを感じづらい助走路の形状や、足がつきづらい高めのスタートゲートなど、ジャンプ台になかなか対応できずにいた。
公式練習では迷いも…「しっくりこない感じ」
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「しっくりこない感じで終わってしまった」
「日本にいる時の方がメディアの皆さんが盛り上げてくれてたんですけど、一旦疲れてもうそんなに(オリンピックの高揚感は)ないですかね」
公式練習初日はそんな風に淡々と話し、前日練習でも、
「昨日よりいいジャンプをした割には全体の中での順位は変わらなかった。よくも悪くも安定してるのかな」
と迷いを感じさせる口ぶりに変化は見られなかった。
「いつも通り楽しんではいたんですけど、正直メダルに届くか不安ではありました」という丸山は、試合前夜にコーチ陣と話し合い、スタート時の動きにいくつか変更を加えた。ゲートで座る位置、足を置く位置を再確認し、板に乗り込む時には後傾気味にならないように「すねの角度が甘くならないように」意識を置いた。
試合当日からの変更は勇気のいる決断ではあったが、何かを変えなければいけない状況なのは間違いなかった。この日の試技ではジャンプががらりと変わり、全体3位となる99mを飛んでいた。金城芳樹ヘッドコーチにも「ようやく足が効いた。カンテに力が伝わった感覚がある」と手応えを語っていたという。

