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「めっちゃ、すぱっと決めました」坂本花織(25歳)が現役引退を”決断した理由” …ラスト五輪に向けた”最後の課題”とは「緊張とどう向き合うか」
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2026/02/10 17:03
自身3度目にして最後のオリンピックに挑む坂本花織
「緊張とどう向き合うか」
特に痛感したのは、グランプリファイナルで失敗したショートプログラムだ。
「ショートの前は緊張がなくて、6分間練習からようやく緊張し始めました。逆に、(ショートの出来が良かった)NHK杯では会場入りする数日前からとんでもない緊張に襲われて。それが、試合が始まる頃にはちょうどいいくらいになって」
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とはいえ、緊張の度合いは自分でコントロールしきれるものではない。そこで坂本が行き着いたのは、自然体であろうということだった。
「緊張していようが、してなかろうが、『今日はこういう自分なんだな』っていうのを受け入れてやったら、気持ち的にも負担がなくなるんじゃないか」
試合のたびに「のびしろはある」
現役引退を決断する選手の多くが、その理由にパフォーマンスの低下を挙げる。しかし、坂本の場合は違う。その競技力は、むしろ上昇曲線を描いている。実際、本人も今シーズン、試合のたびに「のびしろはある」と言い続けてきた。
5連覇を果たした全日本選手権の演技は、それを象徴していた。ショートプログラムでは、グランプリファイナルと同じ轍を踏まなかった。大きな緊張もないまま臨んだが、今度は好演技を見せた。課題をクリアした瞬間だった。
「いつもどおり、練習どおりできました。どんな状況であれできたことが、すごく自信になりました」
一方、フリーは極度の緊張に襲われた。

