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「身体の仕組みはみんな同じ」オリンピアン池田めぐみさんが地元・山形で広げる“整えること”と地産地活への挑戦 

text by

石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

PROFILE

photograph byShigeki Yamamoto

posted2026/02/11 11:00

「身体の仕組みはみんな同じ」オリンピアン池田めぐみさんが地元・山形で広げる“整えること”と地産地活への挑戦<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

フェンシング日本代表として2度の五輪に出場した池田めぐみさん。現在は「アスリートの力を山形の力に。アスリートが挑む地域活性」プロジェクトに取り組んでいる

“コンディショニング”というと難しく聞こえてしまいがちだ。とくにアスリートがやっていたと聞くとさらにハードルが上がる。

「どうしても先入観があって、最初は“そんなつらいトレーニングできないです”と共感いただけないことも多かったですね。そこで、肩こりの予防や改善といった身近なテーマから、実際にイベントなどで体を動かして体験してもらう機会を重ねてきました。すると、”これならできそう”という声が増え、みなさんの意識も変わっていったんです。身体の仕組みはみんな同じ。関節の使い方も、アスリートも一般の方も変わらないですから」

 体を正しく動かすことで心身を整えることができるコンディショニングは、アスリートに限らず、一般の人の日々の暮らしを支えるうえでも有益だという確固たる考えが池田さんにはある。

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「自分の身体の状態を把握し、正しく使えているかどうかに気づいて欲しいんです。若年層の女性のダイエットが、将来の妊娠や出産をするときにリスクになることがよく話題になりますよね。一方で、人生を長い目で見たときに、そうした行動がリスクを高めているということに気がついていない人も少なくありません。同じように姿勢が崩れたり、間違った身体の使い方を続けていると、関節の可動範囲が狭くなったり身体機能が低下して、将来的に痛みが出る可能性もあります。しかし、そういう仕組みを理解していない人も多いんです。でも、自分の身体の状態に気づいて、適切に整えていくことができれば、いい状態を保つことはできるんです」

農業の人たちとのコラボ

 そこで考えたのが「田植え」や「稲刈り」といった農業の人たちとのコラボだ。

 地域の人々の暮らしとスポーツをつなぐため、山形ゆかりのアスリートに声をかけ、高畠町や南陽市の田んぼで実施している。

 子どもたちはアスリートとともに泥んこの田んぼを走って競争したり、手で苗を植える。田植え以外にも「わら納豆作り」や「じんだんぼた餅作り」など様々な試みを行ってきた。イベント前や作業の合間には、コンディショニングを体験する場も設けていて、イベントを通して体を動かす魅力を発信している。

 

 そこにはアスリートのスキルを生かして、地元山形を活性化するために何かできないかという思いも込められている。池田さんにとっては故郷への恩返しでもある。

山形を“日本一コンディショニングしている県”に

 山形にゆかりのあるアスリート同士で連携、競技生活で得たノウハウを生かし、一般の人々が日々健やかに生きられる社会の実現を目指して活動を続けてきた今、スポーツの枠を超えて心身を整えることの大切さを届けられていることを実感している。「人と人とのつながりが化学反応を生み、想像もしなかった未来が作れる」ことを学んだ。

【次ページ】 「ヤマガタアスリートラボ米」の販売も

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#池田めぐみ

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