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なぜ偏差値68“フツーの公立校”があの智弁学園を「7回コールド」圧倒できた?「集中よりも観察」《高市早苗首相の母校》畝傍高野球部が躍進中のワケ 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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posted2026/02/03 11:05

なぜ偏差値68“フツーの公立校”があの智弁学園を「7回コールド」圧倒できた?「集中よりも観察」《高市早苗首相の母校》畝傍高野球部が躍進中のワケ<Number Web> photograph by Genki Taguchi

奈良県屈指の公立進学校である畝傍高校の野球部を率いる雀部尚也監督。智弁学園や天理といった強豪を「普通の公立校」が倒すには何がいるのだろうか?

 畝傍は4回にも2点を追加するなど、監督が「打てるチームではない」と評する打線は12安打の猛打を浴びせた。木村も5回に1点を返されはしたものの、強打で知られる智弁学園をわずか4安打に抑えて完投した。

 智弁学園相手では、12年夏の準決勝以来のジャイアントキリング。選手たちが刻んだ深い足跡を、監督は簡潔に称賛する。

「自分たちが考えて動いて勝てたというのは、すごく自信に繋がると思います」

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 畝傍の成功体験は、夏にも生かされる。

 3回戦で高田高校に逆転勝利を演じ、10年ぶりとなるベスト8。準々決勝では春と同じく強豪私立の一角である奈良大附と対峙し6-7で敗れたが、8回と9回に2点ずつを上げる驚異の猛追は、春の智弁学園戦でのコールド勝ちが偶然ではないことを改めて印象付けた。

智弁の監督から「畝傍に勝たないと年を越せない」

 自信が増し、結果も出る。それでも一筋縄ではいかないのが、甲子園への道である。

 昨年の秋。畝傍は初戦で智弁学園と再び相まみえ、プロ注目の左腕エース・杉本真滉から18奪三振を喫するなど0-5で圧倒された。とはいえ、相手監督の小坂が「畝傍に勝たないと年を越せないと思っていた」と語っていたように、全国でも指折りの強豪から「強者」として認められた敗戦でもあったのだ。

 このような相手からの敬意が、また畝傍を強くする。下級生から中心選手であるキャプテンの日比が、新たな向上心を打ち出す。

「甲子園でも優勝を狙える智弁学園に大差で負けて、実力も体格の差も痛感しましたし『全然、甲子園のレベルじゃないな』とも思えたんで。そういうチームとまたちゃんと戦えるように、オフから『みんなでレベルアップしよう』という目標を掲げてやっています」

 日比が言うように、秋に近畿大会で準優勝した智弁学園は、出場校に選ばれた今年のセンバツでは優勝候補のひとつに挙げられるはずだ。畝傍からすれば、それは願ってもない成長の契機となる。

「センバツで智弁さんが勝ち上がってくれれば、たくさんの試合を見ることができますから。そこからしっかり学びたいと思います」

 監督が不敵に呟く。

 畝傍の「当たり前の基準」が、またワンランク上がった。

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“高市早苗首相の母校”が挑む「甲子園で1勝」への道…偏差値68の進学校が智弁学園をコールド撃破? フツーの公立校でも勝てる「番狂わせの方程式」
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