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“高市早苗首相の母校”が挑む「甲子園で1勝」への道…偏差値68の進学校が智弁学園をコールド撃破? フツーの公立校でも勝てる「番狂わせの方程式」
posted2026/02/03 11:03
昨春の奈良県大会では智弁学園に7回コールド勝ちの番狂わせを起こすと、夏もベスト8まで進出した畝傍。公立の進学校という環境下でいかにして強さを保っているのか
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田口元義Genki Taguchi
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Genki Taguchi
そのことを聞かれると、つい困惑してしまう。
嬉々として話すのはおかしいし、だからといってつっけんどんに返すと相手に申し訳ないとも思う。笑みを湛えながら「そうですねぇ」と、お茶を濁すしかないのが実情と言えるだろう。
校外の人間から興味を向けられることへのリアクションについては、畝傍高校で野球部の監督を務める雀部尚也も同じだ。
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「練習試合をすると相手の監督さんによく聞かれるようになりましたね。それまでは一切、話題に上がりませんでしたから。うちの卒業生に日本を動かすような仕事をしている方がいる、ということについては『よかったな』と」
昨年の10月に女性初の総理大臣となった高市早苗は、畝傍の卒業生である。
学校創立は1896年。今年でちょうど130周年を迎える伝統校は、奈良高校、郡山高校と並ぶ進学校として県内で名高い。
高市の出身である神戸大学をはじめ京都大学、大阪大学といった難関国公立や、関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学の、いわゆる「関関同立」をはじめとする有力私立への進学実績が明るい。
野球部にしても選手のほとんどが国公立大を目指しており、平日は多くの部員が放課後の補習を受けてから練習を行い、下校してからも塾に通う。それが彼らの日常なのだ。
硬式経験者は「例年2、3人」…でも県下の強豪に
高校野球における公立校は、現代の少子化も相まって部員数の減少に直面する。そんななか、畝傍は毎年15人前後の生徒が野球部に入部するという。雀部は「中学生が減っているなかで、勉強と野球の両立を選んで来てくれるのはありがたい」と頭を下げる。
中学で硬式チームでのプレー経験のある選手は例年2、3人だと言い、ほとんどが学校の野球部出身者。そのなかでも、地域の選抜チームに選ばれたような実力者が畝傍に入るそうだ。彼らは雀部の言う文武両道を志し、野球部での研鑽も求める。

