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「文句、言い合いはあっていいが」「アンジェさんは一流」元マリノス通訳がJ2昇格…今矢直城45歳が語るJ監督のリアル「車の中で泣き出すことも」
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田村修一Shuichi Tamura
photograph byTsutomu Kishimoto
posted2026/02/07 06:02
J3優勝からJ2挑戦へ。栃木シティと今矢直城監督は今後、どのような歩みを見せるか
「レフリーに凄く文句を言った選手、スルーパスを出さなかったチームメイトに文句を言っていたけど、大して守備もしていなかった選手。そんな選手は獲らない。
もちろん文句は言っていいし、言い合いがあっていいのですが、では本人がちゃんとやっていますか? と。やってないのに、文句の印象だけが残る。それはウチのチームコンセプトとはフィットしない。そこを超える実力があれば、考えなければいけないけど、そんなのマテウス・ジェススぐらいでしょうから(笑)」
――あそこまでのレベルになると、彼のために他の選手が汗をかくシステムの構築もありになる。
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「でも僕が思うのは、レベルが高かったり、スター性のある選手の方が理解力も高く、ちゃんと話せばわかる。栃木Cは癖の強い選手が多いですねとよく言われますが、みんな話せばわかってくれます。中途半端な選手の方が逆に難しい。獲得の話が来ても『ちょっとなしでいいですか』となる。
プレー中にも言葉に出さなくともボディランゲージがあります。瞬間瞬間を見れば、選手がどういうメンタリティなのかはわかる。チャンピオンに相応しい選手がどうかを見極められる」
アンジェさんの通訳をやったことが大きかった
――そういう見方が出来るかどうかも監督の資質・センスですが、そこに対しては自分に自信がありますか。
「ないですけど、レベルが低いとも思わない。でもあるかどうかは正直わからない。人間の内部までは見られないので。日々勉強を怠らない。自分の心を磨くことで、人間の本質も見えてくる。自分もレベルアップしていかないと、そういうものが見えてこなくなるので、そこは大事にしています」
――骨董の世界で目利きになるには、いかに多く本物を見てそれに実際に触れるか。その回数が多ければ多いほど目利きになれると言われている。それはサッカーの世界でも同じかなと思います。
「間違いないですね。そういう意味では、横浜FMでアンジェ・ポステコグルーさんの通訳をやらせてもらったのは大きかった。もちろん選手のときも、この人は凄いなという監督や選手はいました。ドイツでやっていたとき(3部のリューベック)は、キャプテンがデットマール・ヒルシュといって、カップ戦のタイトルも獲っている人でした。彼の振る舞いはやはり一流だなと思いました。それを肌で感じたのはとてもいい経験でしたし、1年間一緒にやれたのは本当に良かった。これが一流なんだなというのが3部のチームにいても見られた」
車の中で勝手に泣き出すこともある
――自分で想像できないことは実現できないし、逆に想像できることは実現できる。求めていることも、求め続ければけっこう得られる。

