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「パウロはサボるときが。とはいえ」人気YouTuberも“ゴールに見放されたMF”も「判断するにはずっと…」J2栃木シティ監督は選手をどう変貌させたか
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田村修一Shuichi Tamura
photograph byTsutomu Kishimoto
posted2026/02/07 06:01
ピッチ内でもネット上でも存在感を放つ田中パウロ淳一。栃木シティの顔を今矢監督はどう見ているのだろうか
「けっこうジワジワとですね。いまだに守備には不満がありますし、まだまだだと思っています。とはいえ進歩したのは、本人の頑張りあってこそです」
――バイロンも、「自分が来た頃は、パウロ君は全然守っていなかった」と言っていた。
「バイロンに感化されたんですよね。バイロンは守備のセンスがよくて、セカンドボールへの反応が速いし危機察知能力も高い。パウロはわかっていてサボるときがある。でもサボることのプラスマイナスをちゃんと考えていて“ここで下がらない方が俺が生きるんじゃないか”という、ずる賢さみたいなものが彼にはある(笑)」
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――そこは監督と選手の微妙な駆け引きですね。
「とはいえパウロは、セットプレーの守備がとてもいい。ヘディングも、ニアのボールをきっちりはじき返すし反応も速い。ゴールカバーもそうです。でも1対1の守備は苦手で、対峙して止めるよりも、ヘディングとかルーズボールとか誰かが行った後で回収する方が得意です。急激に伸びたのはこの1、2年です。1年目は肉離れで終わって、2年目でだんだん良くなり今年はさらに良くなった。地力がついてきたし、余力はあるのでまだ伸びるんじゃないですか(笑)」
J3では大丈夫でも、J2なら仕留められてしまう
――チーム全体は関東リーグから同じペースで伸びているのでしょうか。
「どのシーズンも、終盤に向けて強くなっていった。今年もチームとして成熟していき、着実に進化したと思います。成長しながら優勝に近づくのがウチのパターンで、終盤に強いチームが優勝できる」
――J2を戦っていくうえでも、今後のチームの姿を思い描けるかどうかは大きい。J3とJ2では、何が一番違うと思いますか。
「JFLからJ3に昇格して、相手に研究されるレベルも間違いなく上がった。J2では、監督の眼はさらに鋭くなる。栃木シティのことをしっかりと見るし、試合中でもズパッと決断してくる。J1・J2の経験がある監督が多く、見てきた世界が自分とは違う。そこに自分も入って行けるのかどうか。
でも逆に未経験がいい方向に行く場合もある。J3にも経験豊かな監督がいたけれども、意外と知らないままイケイケで行っちゃったり(笑)。それこそ岐阜の石丸清隆さんは経験豊かな監督で、栃木シティならこうすれば崩せるというイメージがきっとあった。それで見事にやられた。J2でそんな試合が増えるのが楽しみです。
また選手の質も違う。J3では大丈夫だった場面でも、J2だと仕留められてしまう。ひとりの選手に得点される可能性が増えると想定しています」
「J2はちょっと違う」と感じることとは
――化け物みたいな選手がたまにいたりする。

