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「あれ、前に見えたの青学大か?」王者に迫る東海大…95回箱根駅伝まさかの逆転劇を“黄金世代”が証言「これは優勝できるんじゃないか」
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佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2026/01/21 11:04
4区を走る東海大「黄金世代」の館澤。先行されて見えるはずがなかった青学大の監督車の姿が見えてきて……
これは優勝できるんじゃないか
館澤は「これは優勝できるんじゃないか」と思った。
「4分以上の差は、さすがの青学大でもなかなか縮まらない。そこからターゲットが東洋大になったのですが、復路のメンバーを見比べると、自分たちの方が強い。これなら自分たちが勝てるんじゃないか、と思いました」
6区の出走を待っていた中島は、この日のことをハッキリと覚えている。
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「テレビを見ていたら、その日のニュースで『この4分を詰める青学大』みたいな感じで取り上げられていたんですけど、僕は『いや、無理だよ』と思っていました。『ひとり1分を詰めれば』とテレビでは言っていたんですけど、まず僕のところでそんなに詰まらないですし、7区には阪口(竜平)もいる。
僕らも走れていたので、往路が終わった時点で、青学大に追いつかれるかもしれないという不安はまったくなかったです。青学大とは往路で決着がついた。それはうちのチーム全員がそう思っていたと思います」
キャプテン・湊谷春紀は、西田の快走に驚いていた。
「西田は両角(速)監督が高校時代から山要員として目をつけてきたと聞いていたので、さすがだなと思いましたが、実際、あそこまで登れるとは思いませんでした。往路2位で終われて、東洋との差もそれほどじゃない。『おぉ、これは行けるぞ』って雰囲気になりましたし、『東洋大以外は考えなくてもいい』と両角監督からも指示がありました」
ミーティングが嫌だった
往路が終わった夜、東海大では復路の選手が集まってのミーティングが行なわれた。青学大が大失速し、東洋大との差は挽回可能なタイムだ。ミーティングはかつてないほどの盛り上がりを見せ、チームは優勝に向けてひとつになった。
ただ、ここに6区の中島怜利だけが参加していなかった。
「1、2年目の時、往路がうまくいっていなくて、ミーティングがすごく陰気臭かったんです。僕は、それがすごく嫌だった。往路優勝したら出たと思うんですけど、2番ですし。翌日に向けて『おまえ、頑張れよ』、『おまえ、詰めて決めろ』って言われるのも嫌だったんです。
他の人というか、チームのみんなの雰囲気を感じとるのが嫌で。前日の刺激(練習)を終えて、夜ご飯を食べて芦ノ湖に向かうまで、誰とも会っていないです。6区に向かう時にも、両角監督とは一言もしゃべりませんでした」
中島は、自分のペースで静かに翌日の準備をしていた。

